果実部の靏尾(つるお)君に教えてもらった話です。
石川県産の栗の主な産地は能登地方、特に穴水町ですが、生産量は年々減少しています。 今年の作況は輪をかけて厳しいらしく、全体的に小粒で、前年の半分程度の量しか採れない見込みとか。
それでも産地はなんとかがんばって、この秋も出荷して下さるので、市場としては大変ありがたいことです。
問題は来年以降です。
栗は虫が入りやすく、産地は出荷前にその駆除に工夫をこらします。 特殊な冷蔵や水につける洗浄によって虫を死滅させたり取り除いたり、産地によってその方法はいろいろです。
穴水では昔から「燻蒸(くんじょう)」といって、ガスをいぶすことで殺虫する方法をとってきました。
でも来年以降、ガスの元となる薬剤の製造が中止になって、その技が使えなくなるそうなのです。
施設自体かなり老朽化が進んでいたので、早晩新しい方法に切り替える必要はあったと思いますが、現時点で方向性はまだ決まっていません。
水槽方式にしても冷蔵方式にしてもかなりの投資になりますから、先細る生産量との兼ね合いで、産地は難しい選択に迫られます。
地元で採れる日本栗は今や貴重な秋の味覚です。
産地・市場・行政らが皆で知恵を出し合い、お金を出し合い、精を出し合って守っていくべきものと思います。