「市場流通ビジョンを考える会」なる会がある。
東京聖栄大学の藤島廣二先生が中心となって、今後の卸売市場はどうあるべきかを考え、議論する会である。
藤島先生は数少ない「卸売市場寄り」の学者先生である。 市場流通の重要性を説き、市場不要論者の根拠なき攻撃を正面から受け止め論破して下さる。
かと思えば、だからお前たちはダメなんだ!と市場関係者の不甲斐なさを叱り飛ばすこともしばしばである。
私はご縁あって20年近く前から先生の教えを受けてきた。 その先生が金沢で「市場流通ビジョンを考える会北日本部会」を開き、そこで、私にも20~30分しゃべれという。 師の命令には逆らえないので「あくまで個人的なコメント」と断って話をさせてもらった。
・北陸の拠点市場であるからには金沢の公設公営は維持するべきだ。
・第三者販売は自衛上必要。禁止条項は絶対にとりはずせと主張してきた。
・定温保冷庫を大規模に確保できるなら、定温卸売場は小規模でよい。
・各社ごとの仲卸売場は必要か。共同の保冷庫、ピッキング場を運営してダウンサイジングしてはどうか。
・卸同士のM&Aより、卸と仲卸のM&Aの方が現実的だ。
以上を公の場で初めて述べた。 時代によっては話題にするのもタブーだったデリケートな問題であり、今でも軽々には言えない。
本会には仲卸も多数参加しており、反発されることを覚悟していたが意外にもそれはなかった。 「議論をしなければ始まらないんです。今回の問題提起はよかったですよ」 と市場コンサルタントの本田茂さんが褒めてくれた。藤島先生も「仲卸売場の撤廃など、これを機にスムーズに合意が進むかもしれないよ」 と評価して下さった。
会が終わってから気づいた。市場の代表としてしゃべったのはなんでオレだけだった?ほかのキーマン…水産卸や花卉や仲卸にもいっぱいいる…は、質疑応答のコーナーで意見は出たが、表立った発言はなかった。
結果的には、私の口を使って先生が問題提起したようなもので、私はまんまとダシにされたのかもしれない。
・・・光栄です。