柿のシーズンである。
産地は和歌山、福岡、岐阜、愛知、そして石川能登地方など多々あり、品種も刀根早生、平核無、冨有、太秋、筆書、二郎、そして紋平などこれまた豊富である。
それぞれ特徴は何なの?どこの何が美味しいの?
この単純な質問に明確に答えられる人は少ない。
「好みだからなぁ~」という適当な表現で済まされるのがほとんどだ。
固い食感が好きな人もいれば、腐る直前のグジュグジュのが一番うまいという人もいる。
絶対正しいとは言えないが、まあだいたいそんなとこだね、という柿のうんちくを覚え書きしておく。
・甘柿…冨有、筆柿、次郎など ・渋柿…平核無、西条、日本、紋平など
・渋柿はさわす(渋を抜く)ことによって甘くなる。これは渋み成分のタンニンが不溶性になることによって渋みを感じなくなるとい理屈である。
・脱渋方法はガス脱渋、アルコール脱渋が双璧で、干柿も干すことで渋を抜く技法である。
・渋柿は食感がなめらかである。
・甘柿は食感がカリカリしている。
あくまでも一般的な傾向であり、渋柿はさわす過程があるため甘柿に比べてやわらかくなりがちということである。甘柿も日が経てばやわらかくなる。
・品種の特徴
平核無柿…渋柿の代表的な存在。日本のいたるところで作られているから、作りやすいのかもしれない。柔らかくなっても食味が損なわれることはない。
次郎柿…しっかりした歯ごたえ。
愛宕柿…愛媛県の特産品である。
太秋(たいしゅう)柿…しゃきしゃきした梨のような食感が特徴
紀ノ川柿…黒砂糖が入ったような果肉が特長の渋柿。平核無を木に成らしたままアルコール脱渋させる。黒い粒粒の正体は苦み成分のタンニンが不溶性のゴマになったものである。
太天(たいてん)柿…愛媛県のブランド品である。普通の柿より2倍以上の日本一のビッグサイズが最大の特徴である。
富士柿…富士山のような形でなめらかな食感が楽しめる。
輝太郎(きたろう)柿…鳥取県のブランド品である。ゲゲゲの鬼太郎が名前の由来。
秋王(あきおう)柿…福岡県のブランド品である。太秋と冨有の掛け合わせで糖度が高い。甘柿としては珍しく種がほとんどない。
紋平(もんべい)柿…石川県のブランド品である。共撰はアルコール脱渋からガス脱渋に変えたことにより店持ちが良くなり、県外出荷も盛んになった。(しかし、食味はアルコール脱渋の方が良かったとの評価もある。)