石川県には抜群においしい柿があります。
金沢の北、かほく市高松の特産品「紋平(もんべい)」です。
「ぺい」ではなく「べい」と濁ってください。
我々は「もんべ」と「い」すら略して呼ぶことが多いです。
毎年11月のほぼひと月だけ出荷される限定品です。
今日11月1日に、本年産の初せりが行われました。
今年から始まった規格が「プレミアム」で、1個が300g以上、糖度16度以上の特秀品にあたります。
昨年までは特に大きいものを集めて「キング紋平」と称してましたが、これは今年からやめたみたいです。名前がキングスライムみたいで好きだったので、個人的には残念ですね。
さて、初せりはご祝儀価格で桐箱入りで10万円の値が付きました。
金沢老舗の青果専門商「堀他(ほりた)」さんが落とし、石川県加賀地方にある辰口温泉の「たがわ龍泉閣」に納品されました。
昨年の初せりは5万円でした。一挙に2倍!というと景気のいい話ですが、いくらになるかはほんと、買いに出てくださるかたの胸一つです。
新聞やテレビで報道され、お店の宣伝にもなるんでしょうが、やっぱり石川県のブランド農産物を応援してやりたいっていう地元愛だと思います。ありがたいことです。
紋平柿にはまだ話題があって、今年は天皇陛下の即位に伴う大嘗祭に献上されることになりました。
かほく市の油野和一郎市長は、高松市の特産品が初出荷されるタイミングではよくこの市場にご来場されます。
自らマイクを取り、仲卸・売買参加者にトップセールスをされます。
そのスピーチは地元を振興しようとするひたむきさにあふれていて、トップとはかくあるべしというお手本だなぁと私は感じます。
紋平はおいしい柿ですので、もっともっと認知度が高まってほしいと思います。
【紋平柿】
石川県独自の柿で、渋柿の一種です。柿の中では極めて大型。果重は240g~280gもあります。形は上から見るとまん丸、横から見ると果頂部がとんがっていて厚みがあります。
色は鮮やかな橙紅色。種はほとんどありません。
肉質はなめらかで、弾力のあるソフトな歯ざわりを持っています。
高松町元女(がんにょ)に、家号が「紋平さ」と呼ばれる家があり、その家の庭には樹齢100年をはるかに越えると思われる大きな柿の木があります。その呼び名にちなんで「紋平柿」と言われるようになりました。
地元では手軽にアルコール(焼酎)で脱渋(だつじゅう・・渋みを抜くこと)して自家用として食されてきました。味がよいので人気がありましたが、アルコール脱渋では渋は抜けても表皮が黒く変色してしまい、商品化がなかなか進まなかった経緯があります。
近年、脱渋の方法をさらに進化させ、施設を整備してガス脱渋の方式に切り替えました。これによって紋平柿は品質が均一化するとともに「たな持ち」も良くなって、より広いエリアにも流通できるようになりました。
紋平は10月下旬~12月上旬がシーズンです。
ピークは11月です。石川県羽咋市以南の宝達山系の山麓地帯から金沢市にかけて栽培されています。その中でも最も生産の盛んなのが高松町(石川県河北郡)です。石川県全体で生産する柿のうち、約1/4が紋平柿です。
色が濃く、つやがあるものを選びましょう。
また、ヘタが大きく、実との間にすきまがないものが良いとされています。
形は、左右均一に尖っているものがきれいです。