青果物の週間情報 【2020-W14】

■週の概況 第14週 3/30(月)~ 4/4(土)

【全体】
 先週この欄で「感染症はピークアウト(ピークを越えた)」と書きましたが全くの見当違いでした。新型コロナウイルスの脅威は膨れ上がり、消費者の買いだめ・店頭の品薄で大都会東京は大変な混乱に陥っています。石川県はそう極端でないにしても、対岸の火事ではありません。スーパー筋は保存食品やお米などが売れており、生鮮も通常より動きがいいとのこと。万一当地でも感染が激増すれば東京と同じ騒ぎになりかねません。この先どうなるかは誰にもわからず、全く未知の世界。備えあれば憂いなしにも限界がありますが、状況を見極め精一杯の対応ができるよう、常に耳目を開いておく必要があるようです。
 青果物ではキャベツなど一部の品目で異常な動きを見せていますが、幸い現時点では国内の一般野菜・果実は概ね順調です。この週は春作が増え値を下げる野菜もあれば、後続産地の遅れや雨による出荷減少で強含むものもあり、品目によって値動きはまちまちの予想です。

【野菜】
 葉茎菜類では前週の金・土でキャベツが異常に値上がりしました。雨で数量が減少したこと、特売が全国各地で行われたこと、加えてコロナウイルスによる消費者の買いだめ心理が乗っかり、都会で極端な品薄に。その煽りを受けて全国相場も跳ね上がりました。この週は大きく反落する可能性がありますが、高値基調を引きずり不安定な入荷となりそうです。ほうれん草や小松菜など菜類は九州方面の切り上がりが早く、やや品薄高値基調で、この傾向はしばらく続く見込みです。逆にレタスやブロッコリー、アスパラといった洋菜類は潤沢感が増して下げの予想です。きのこ類は需要期からはずれるに従い減産体制に入るので価格はやや持ち直す見込みです。
 果菜類は全般に増量傾向で少し値を下げるという、この時期としてはごく順当な動向でしょう。ナス・トマト・ピーマンはその流れに乗って拡販したいところです。胡瓜はここまで出方が良すぎたため、この週は降雨で一旦落ち着くかもしれません。大葉を代表とする妻物類は外食産業の不振から販売苦戦が続いています。
 根菜土物類は、玉ねぎを除き、安かったものは底上げ・高かったものは値下げという平準化傾向です。前者は大根・ごぼうでジリ上げ傾向、後者は長芋・人参で値を下げる予想です。甘藷やレンコンは残量少なく中長期的に上げていきます。旬のタケノコは九州地方の雨予想で日によって数量増減ありますが、玉の肥大が顕著であり、一般家庭向けへの販売強化のタイミングとなりますし、この週後半から地元小松市産もスタートします。玉葱は依然として北海道産が豊富にあり、平年を大きく下回る安値となっています。

【果実】
 国内果実は大きな変化はありません。イチゴは前週並みの入荷で保合、柑橘類はデコポン・甘夏・清見中心の入荷です。りんごは残量少ない上にサンふじが切り上がりを見せ更なる上げ相場となります。瓜類では定番のアールス系に加え、西南暖地から青肉・赤肉各種が入ります。大玉・小玉の西瓜も徐々に数量を伸ばします。ごく少量ながら山形産サクランボのハウス物も出てくる見込みです。
 輸入果実は今はまだ大丈夫。しかしこの先は長期的な品薄・単価高が危惧されます。原因はこれまた新型コロナです。コンテナ船が中国の滞留で物流麻痺になっており、主に中南米産の果実が日本に来にくい状況が4月中旬より起こります。米国産シトラス各品も同様な状況です。バナナはさらに深刻で、産地で人の移動制限が発令されており、労働力不足から収穫量そのものが落ちているため、4月中旬より品薄単価高は必至です。航空便も減便となり、ライムやブルーベリーはすでに影響が出ていますし、来月から始まる予定のアメリカンチェリーや輸入イチゴも例年より大きくショートする恐れがあります。アボカドはペルー産の不作から世界的な品薄感が広まっており、例年より高値が慢性化します。外国果実は短期解決のめどが立たないことから、小売店サイドは国内果実をメインとする品揃え・販売強化が賢明かもしれません。