3月29日、志村けんが新型コロナウイルス感染による肺炎で亡くなりました。
享年70歳。
3月20日に発熱と呼吸困難のため入院し、24日から人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を動員して治療にあたったそうですが甲斐なく終わりました。
この有名人の死は、どこかまだ対岸の火事でのんびり構えていた人々の頬を張り飛ばし、恐怖が身近に迫ってきた実感を人々に植え付けました。
この方を私は尊敬していました。
「志村けんのだいじょうぶだぁ」が放送されていたのは1987年から1993年。
毎週月曜日のゴールデンタイムでした。
この頃が彼の絶頂期だったでしょうか。
私は思っていました。
“この人こそ世界一のコメディアンである”
日本一かどうかはわかりません。好き好きですから。
でも世界一は間違いなくこの人です。
(日本一<世界一 とは限らないところが日本のお笑いのものすごさです。)
世界にどんなコメディアンがいるかも知らず、まったく根拠なく思い込んでいただけですが、私には確信がありました。
“この人こそ世界一のコメディアンである”
この人のパフォーマンスに言語は必要ありません。
変なおじさんがする変なことは万国共通に変なことでありましょう。
ただし、醜悪と下劣と差別的異形のぎりぎり手前のライン。
時代によっては放送NGのレベル。
あの“変さ”は破壊的で突き抜けたものがありました。
台湾ではプロレスとAVと志村けんのビデオが大人気だったと聞きます。
なるほど、すべて日本独自の深〜く掘り下げられた文化ですね。
近年の志村けんは、全盛時の破壊的なコメディー路線ではなく、枯れていてしかもやわらかい、独特の演技体を披露する役者として活躍しました。
芸能人生を全うするには至極もっともな路線変更で、年齢相応な変化です。
これからも活躍の場は大きく広がっていたことでしょうからもったいないです。
ただ、破壊的コメディアン志村けんは不世出のコント映像を余すところなく残してくれました。
「志村けん全集」なるDVDをどこか出してくれないでしょうか。
絶対出すべきです。
これは文化遺産になるものです。
その際、なんとかひとつ、田代まさしとのコントも収録してほしいのです。
全集ですから。