改正卸売市場法の勉強②

2)取引ルールについて

【販売の基本理念】条例第35条
・市場における売買取引は、公正かつ効率的でなければならない。
◎卸売業者は、金沢市場の仲卸、売買参加者に販売することを基本とする。
◎卸売業者は、金沢市中央卸売市場内において販売することを基本とする。
◎仲卸業者は、金沢市場の卸売業者から買うことを基本とする。
(つまり、従来からの市場内販売を優先し、第三者販売、直荷引き、商物分離販売はあくまでもその次にしなければならないという牽制の意味が込められている。)

【販売方法】条例第36条
◎卸売業者の販売は、せり売り若しくは入札の方法又は相対取引の方法によらなければならない。(つまり、どんな売り方でもよい。旧法にあった物品制限がなくなり、今後は買受側の了解さえ得れば、何でも自由に売り方を選択できることになった。)
◎卸売業者は、せり売りと入札は、仲卸及び売買参加者以外の者に卸売をしてはならない。(つまり、せりでは第三者販売できない。)

【差別的取扱いの禁止】法第4条5項、条例第40条
・卸売業者は、出荷者又は仲卸業者その他の買受人に対して、不当に差別的な取扱いしてはならない。

【受託拒否の禁止】法第4条5項、条例第40条
・卸売業者は、委託の申込みがあった場合には、正当な理由(省令第6条)がない限り、引き受けを拒んではならない。委託者の販路確保のため。

【第三者販売の自由化】条例第41条
◎旧条例第41条(卸売業者は仲卸及び売買参加者以外の者に卸売をしてはならない)が削除された。=第三者販売が許されるルールとなった。
◎ただし、第三者販売の販売予定、結果を毎日、毎月、報告と公表する義務が生じる。

【仲卸の直荷引の自由化】条例第50条
・仲卸は委託の引受けをしてはならない。
◎仲卸は、市場内において、卸売業者以外の者から買い入れて販売した場合は、毎月、市長に報告しなければならない。
(つまり、直荷引きが許可になった。ただし直荷引きの報告義務がある。また、出荷者から委託販売を引受ける卸売行為は違法。)

【商物分離の自由化】条例第42条5項
◎旧条例第42条(卸売業者は市場内にある物品以外の卸売をしてはならない)が削除された。=つまり、産地直送など、市場に荷物が降りない販売も認められるようになった。
◎卸売業者は、市場内及び指定保管場所以外にある物品を卸売した場合は、毎月、市長に報告しなければならない。

【指定保管場所】条例第42条
◎卸売業者は、物品の保管場所を市場外かつ市内に設ける場合は、市長の指定を受けなければならない。
(つまり、旧法における指定保管場所制度が残ってしまった。丸果流通センター、バナナセンター、缶詰倉庫は指定保管場所であり、この取扱いは市場内と同じ扱いとなり、商物分離に該当しなくなる。つまり、取扱高使用料が発生する。)

【自己買受、買戻し、その他の許可】条例第44条・第45条の削除
◎旧条例第44条、第45条にあった「自己買受の禁止」「買い戻しの禁止」「委託手数料以外の報償の収受の禁止」が削除されたことにより、新条例の下では解禁になったと解釈できる。
◎自己買受…卸売業者が、自社に販売したことにする処理。(今後、社内販売処理として、非常に重要になる可能性あり!)
◎買い戻し…例えば、仲卸に一度売ったものを再び買い戻す処理。(ただし、循環取引が問題視される場合は多く、安易な使用はできないと思われる。)
◎委託手数料以外の報償…具体的な事例はない。取引条件は卸売業者が独自に定め、開設者が承認すれば、その後は出荷者の判断により取引が成立することになるため、手数料以外の収入を禁止する根拠がなくなった。出荷者が了解すれば、手数料以外の収入の設定は理屈上は可能。