横田滋さんが他界
北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父親で、被害者の救出活動のシンボル的存在でもあった横田滋さんが5日にお亡くなりになった。
87歳の生涯のうち、40年以上を娘の救出活動に捧げてこられた。
拉致被害者の会の代表として妻の早紀江さんとともになんと1400回を超える講演を重ねられた。
我が子を拐われるというこれ以上ない非道な運命と向き合いながら、しかし、我々がメディアを通じて見る限りにおいては怒りに取り乱すこともなく、しかして常に毅然として、時の政権に、また世間に向かって拉致被害者の救出を訴えてこられた。
そのお姿は実に偉大だった。
いかに内心は怒りに震えようとも、悲しみに暮れようとも、それをじっと胸の内にしまって、真摯に社会と向き合ってこられた。
この崇高さは真に賞賛すべきものだ。
知性と愛情を持つ人間は、いかなる逆境にあってもこうあらねばならないというお手本を示された。
それに比べ、今の世はなんと野蛮に振る舞う人間の多いことか。
我々は横田さんの在りし日の姿を見習わねばならない。
横田滋さんは、パーキンソン病に蝕まれたそうだ。
パーキンソン病は私の身近な存在にも二人いる。
一人は他界された。
体と脳が萎縮していく難病中の難病。
自分の体力・能力が失われていくのがわかるから、表情は乏しくなっても胸の内には深い悲しみが宿る。
娘が帰らぬまま、自身の余命が尽きていくのを見つめることはこの上なく無念だったろう。
心からご冥福をお祈りします。