お墓参り

お墓参り

金沢では新盆の7月15日前後にお墓参りをする人が多いようです。
その際、キリコという箱をつるす独特の文化があります。
お墓参りを何箇所もする場合はキリコもたくさん必要になり、かなりかさばりますので、もうだいぶ前からは「板キリコ」なる小さくて薄っぺらい板をキリコの代わりするようになりました。
今では圧倒的にこの板キリコの方が多くなったようです。

7月15日は市中の人々が墓参りに出向きますので大混雑となります。
また、例年7月10日ごろまで、お墓が密集する野田山は中まで車で入れます。
特に我が家の墓地は、真ん前に車をつけられます。
逆に10日を過ぎると野田山の中は通行止めになり、お墓までは指定駐車場からかなりの距離を歩かねばならなくなります。
うちは母が体が不自由なこともあり、数年前から7月15日前後を外し、車が乗り入れられる時期に各墓所を回るようにしています。

ということで今年は7月8日に回ってきました。

野田山は幽玄で美しく、澄みきった空気に包まれた地です。
雨がしとしと降っていると一層美しさを際立たせます。
しばし佇むだけで何とも厳粛な気持ちにさせてくれます。

令和2年の梅雨豪雨で雨が心配でしたが、うまい具合に上がりました。
回ったのは
①家の墓所、②父方の母の生家、③母の生家、④父方の母の妹の墓、⑤父方の母の親戚家の墓、⑥父の姉妹の墓、⑦姉の息子と義母の墓

妻はさらにその間を縫って自分の母の親戚家の墓も参りました。
キリコ13、花14、ろうそく・線香14本。
それなりの数です。

毎年、回る段取りを考えるのが大変です。
いや、毎回ああだこうだと考えるのが愚かしいので、数年前から日記に記録しており、私自身はそれを踏襲するだけです。
しかし父母は記録があること自体を忘れるので、毎年毎年「どうするこうする」の激論が7月早々二人の間で始まるようです。
それも頭の体操かもしれないで、するに任せています。

宗教心はないほうですが、先祖の墓を参らなければという思いはあります。
ただ、もし父が他界したらどうでしょう。
今回っている十数カ所のうち、5〜6箇所は回る意義を感じなくなると思います。
さらに、私が死んで、息子たちはどうなるでしょう。
私の家と妻の家の2箇所以外に回ることはないかもしれません。
時代、世代、価値観は流れていって変化していきます。