父と久米農園を訪ねる

金沢の篤農家・米林利栄さんを訪ねました。
農園の名は久米農園(ひさよねのうえん)。
久安の米林の略です。
元々は金沢市久安の農家で、今でもお住まいは久安です。
数十年も前のこと、市の宅地整理事業で畑を手放すことになり、代わりにかほく市元女(ぐわんにょ)の丘陵部に畑を持たれました。

左が米林利栄さん、右が私の父

加賀太きゅうりの本家本元。
ハウス栽培で金時草の周年流通を実現された功労者。
誰よりも当社の内情を知る人物(笑)。

「農家は市場出荷こそが本道」とおっしゃり、作った野菜の全量を当社に出していただいています。

米林さんが作られるトマトは無農薬で作られ、トマト本来の旨味が絶品で、毎年たくさんいただいてしまいます。
父はそのお礼を直にお会いしてしたいということで、会社の休みの日を利用して来た次第です。

奥さんも現役です

米林さんは90歳の父より二回りも若くまだまだお元気ですが、とにかく記憶力が良い方です。
昔の市場はこうだった、誰々のおじま(弟)はこうなった、あの時こんなことがあった、といったことを詳細に語られるので、父もとても懐かしかった様子でした。

昔の家は子供が多く、三男坊なんて家にはいらん子。だからワシはいったん養子に出された(父)。
松本のふんどしも上に3人もいて、やっと4人目で畑を継ぐ息子が出てくれたと親父は言うとった(米林さん)。
と、昔の三男坊の悲哀話で盛り上がっていました。

※松本のふんどしというのは、金沢の加賀野菜作りの第一人者・松本惲(あつし)さんのことで、惲の字が褌(ふんどし)に似ていることから、米林さんが愛着を込め、こう呼ぶことがあるのです。

米林さんは加賀太きゅうりの第一人者であり、金時草の大御所であり、つまり、加賀野菜の代表的作り手ですが、圃場がかほく市であるため、商品に「加賀野菜」とはうたえないルールがあります。
なんだかなぁと思います。
しかし、米林さんともなると、ネーミングなどどうでもいいわい、というような達観したところがおありになります。
確かに、市場では「加賀野菜」とわざわざ付けなくても、「ひさよね」そのものがが抜群のブランド力を発揮します。

息子の格栄さんは今や立派な大黒柱ですが、利栄さんにもまだまだ第一線で頑張っていただきたいです。