台湾の李登輝元総統が30日、死去されました。
「台湾民主化の父」と呼ばれた、97歳の生涯でした。
日本統治下の1923年に生まれ、京都帝大に入学。
戦後、台湾に戻り、蒋経国元総統に引き立てられ政界入りし、88年に総統に昇格。
初の本省人(台湾出身者)の総統であったため、外省人(中国大陸出身者)勢力が激しく抵抗する政局の中、総統直接選挙など民主化を推進し、96年に総統直接選挙を実施、初の民選総統になりました。u
99年には中台関係を国と国の関係とした「二国論」を提唱しました。
大の親日家としても知られます。
22歳まで日本籍だったこと自著で書いています。
司馬遼太郎との対談では「台湾人として生まれ台湾のために何もできない悲哀があった」と述懐しています。
「日本は政治とは別に人権や人道、自由や民主で主体性を発揮すればよい」、
「リップンチェンシン、『日本精神』。誠実、勤勉、奉仕、責任などの美徳をまとめて指す言葉として今でも台湾で使われています」
と日本の精神文化については日本人以上に理解と評価を示していました。
一方で、「日本は米国に頼ってきた考え方をやめ、台湾を含めアジアを背負っていくという考え方を持つ必要がある」「戦後の日本社会は物質ばかりになり、精神的なものがなくなっている」と厳しい評価を下していました。
石川県にも訪れました。
李氏がもっとも尊敬する日本人として八田技師と西田幾多郎、鈴木大拙の3人を挙げ、「金沢にはそういう素晴らしい人材はぐくむ何かがあるんだ」とおっしゃったそうです。
特に八田與一への思いは強く「今の日本には八田技師のような日本精神を発揮することが求められている。その精神とは言い換えれば、他者のために汗をかく「利他の心」である」と述べられました。
現代日本が忘れてしまった日本精神を今一度見つめ直してみようと思います。