昨日、大阪府の吉村洋文知事が、「イソジン」など、ポピドンヨード入りのうがい薬でコロナ患者の唾液からウイルスが検出される数が激減したと発表しました。
市民は敏感に反応し、ドラッグストアからはまたたく間にうがい薬が消えました。
速攻で売り切れ状態です。
コロナによる売り切れ騒動にまた新たな1ページが加わりました。
吉村府知事はこれまでコロナ対策には積極的であり、政府や東京都知事よりもメリハリのある攻めの姿勢が功を奏してきました。
今回もその流れと思います。
“検証はまだ先だが、効果は期待できる。ならば、すぐに行動しよう”
さすが行政のトップ、しかもコロナで一躍人気が出た府知事の発表です。
影響力はさすがに大きいものがあります。
しかし私はこの発表は安易であり、問題だと思います。
発表によるデメリットを想定していないからです。
そもそも注目されてなかったうがい薬なので、たとえ一時的に欠品騒ぎが起きても大事はない、後に効果が否定されてもダメ元だ、という軽いノリが感じられます。
大阪はびきの医療センターの松山晃文氏が「いけいけどんどんです」という妙なコメントを発したのもそうした背景であるからではないかと感じました。
しかし、これで市民がうがい薬に殺到するとはどういうことでしょう。
うがい薬は予防のためではなく、「感染者から飛沫する唾液にウイルスが含まれないようにするため」のものと説明されています。
ということは、もし効果が真実だったとして、ポピドンヨードが必要なのは、一般市民ではなくコロナ患者ということになります。
そのうがい薬がまたたく間に売り切れだと。
かつてのマスクのように、ポピドンヨードが医療機関に入らない事態にもしかしたらなると。
・・・逆効果じゃん!
むしろ、吉村知事が真にこの効果を信じ、行政の長たる権利を行使するなら、「一般市民へのポピドンヨードの販売を全面禁止、すべてを医療機関向けとし、コロナ感染患者に潤沢に供与することに注力する」こそ正しい政策ではないでしょうか。
それと、ポビドンヨードは強力な殺菌性があるため、口の中にある必要な細菌も殺してしまい、粘膜も痛めてしまうマイナス効果もあります。
例えば、幼児がこれで毎日何回もうがいをし、何ヶ月もそれを続けてしまったら、別の問題が起きたりしないでしょうか。
それ、例の「次亜塩素酸水を教室に噴霧する小学校」の二の舞にならんとも限りません。