杉本水産のうなぎを食う

我が家は昨日うなぎを食べた。
金沢市の近江町市場の名店「杉本水産」の蒲焼きである。

いや、実は今年の土用丑の日(7月21日と8月2日)も食うには食った。
スーパーの2,900円のを1パック。家族で分けて一人一切れだ。
しかしこれをもって「うなぎを食った」とは言わないようにしている。
私にとって「うなぎを食った」はあくまでも杉本のうなぎを食うことを指す。

今年の土用丑の日、杉本水産やみやむら(杉本水産から独立した店でやはりうなぎの蒲焼きの評価が高い)はそれはそれは長蛇の列だったらしい。
コロナ禍にあって例年より間隔を空けて並ばせたこともあったが、巣ごもり需要で純粋にお客さんの数が多かったと思われる。

私は、土用丑の日に並ぶ気は、はなからなかった。
そりゃ平賀源内の時代からの伝統かもしらん。
しかしそれは“MUST”ではない。
並ばずスッと買える日に買ったって、ご利益は変わらないのである。
(そもそもうなぎにご利益はない。)

2月15日にチョコレートを渡せば“それ売れ残りちゃうん?”と疑われるが、8月5日にうなぎを食っても“それ丑の日の残りもんちゃうん?”とは言われない。
日をずらしても味と料金は一緒だし、何より杉本社長の目が充血していない。
(土用丑の日は杉本社長らお店の人は徹夜仕事なのである。)
そこまでして、人件費が膨大なので、全く儲けはないそうだ。
ならばなおさら平日に買ってあげなくては。

家に帰って、コンロで軽く焼いてから食べた。
「電子レンジはダメ。ガスレンジかコンロで温めろ」と商品の紙に書いてある。
想定どおりにうまかった。
ふっくらしていて柔らかい。
タレは杉本水産独特の甘さ。
母は「杉本のうなぎさえあれば何もいらない」とまで言い切った。
これをもって今年も無事「うなぎを食った」わけである。