復刻版 田井屋100年ノート

金沢市の老舗紙製品商社の田井屋が、このたび“古くて新しい”商品を開発した。
その名も「復刻版 田井屋100年ノート」だ。

田井屋の小売店「田井屋吉兵衛」でのノート売り場

以下、商品に添付された説明文の引用
【2015年、西田幾多郎氏のご遺族の元から直筆ノート50冊と紙資料が発見され、そのうちの3冊が1900年代初期の田井屋製ノートと判明しました。
ノートに向かい深く考え、考え抜いたものを何とか言葉にしようと試行錯誤した彼のようにあなたの思考や創造に寄り添うノートでありたいと、当時のノートを元にリデザインしています】

田井屋は金沢市の食品包装資材・紙製品・文具の卸売商社である。
創業は江戸時代明和2年(1765年)で、金沢市片町が紙小売商としての創業の地。二百五十有余年の歴史がある。
紙の小売から卸売へと業態を変化させ、取り扱いも文具・事務機・包装資材・包装機械へと拡充した。
さらに、今やありとあらゆる小売商支援を手がけている。
地元密着の総合コンサル商社に発展したといっても過言でない。

社長の田井徳太郎氏は私の小中高校時代の一年後輩にあたる。
また、遠いながら血縁関係がある。
私の母方の祖母と徳太郎氏の父がいとこである。
いとこではあるが、当時の両家の事情で、長く同じ屋根の下、兄妹同然に育ったらしい。
徳太郎氏の父は若くして急逝し、徳太郎氏は年若くして田井屋を継いでいる。
・・・などなど田井徳太郎さんの話は長くなるのでまたいずれ機会があれば。

ノートの話に戻る。
商品開発のきっかけは、7月11日の本ブログでも紹介したとおり、西田幾多郎のノートの中に田井屋で作っていたものが発見されたことである。
これを復刻・商品化したのは素晴らしき商才。

ただのノートなのに価格は990円と高い。
だが高くてもこれは売れるだろう。
付加価値が人の物欲をくすぐる見本のようなものだ。

西田幾多郎が使っていたのと同じ仕様のノート。
なんとなく、これを使うと賢くなったような気がしてくる(笑)。
裏の「田井屋製」という刻印のようなマークを打てるのは田井屋のみだ。

繰り返すが素晴らしき商才。
だが、ただ商売っ気があるだけではなく、その底流には自社に対する愛情と誇り、それと地元の偉人に対する深い敬意があってこその発案だ。
そこが敬服に値する。

翻って、うちはどうなのか。
先人たちによって世の中の役に十分立ってきたではないか。
そして誇れる地元農産物を数多く扱ってきている。
ならば、条件は同じである。
田井屋さんにできてうちにできないとすれば、それはひとえに愛情と誇りと敬意が足りないということだ。
肝に銘じてこれから考える。