俳優の伊勢谷友介は9月8日に大麻所持で逮捕された。
昨年3月にピエール瀧、11月に沢尻エリカが逮捕されたときは収録中の作品は代役を立てて撮り直し、収録済みのものは放送中止となるなど、かなり極端な自粛処置がとられた。
ピエール、沢尻の時から“作品に罪はない。予定通り公開すべきだ”という声は小さくなかった。
それ受けての伊勢谷友介だろうか。
どうやら彼の出演、収録済みの映画はおおむねお蔵入りにはならず、予定通りの公開となるようだ。
作品自体が粛々と公開されることはよいことである。
たとえ出演者がリアルに殺人を犯したとしても、作品を自粛する必要はない。
犯罪者が出演した作品は公開を停止しなければならないという法律はない。
自粛はまさに自主的なものだ。
話は変わって芸能人の自殺。
9月27日の女優・竹内結子のニュース速報には驚いた(9月27日)。
自殺という暗いイメージとは真反対の明るい印象の役者だっただけに世間への衝撃も大きかった。
その二か月前には三浦春馬が自殺している。
奇しくも二人は映画コンフィデンスマンJP -プリンセス編-に出演しており、そのほかの出演作品も普通に上映、放送されている。
当然のことであり、それでよい。
だが、ここで疑問がわく。
大麻は問答無用に非難するくせに、自殺者に対しては同情、哀憐、時には美化も。
ここに違和感を感じるのだ。
私の価値観では、自殺は大麻や不倫より“悪い”。
大麻所持は法律違反だが自殺は罪でない。未遂も罪でない。
(ちなみに自殺の手助けは罪になる。)
だからといって自殺は悪くないと言えるか?
諸外国の中には、自殺そのものを罪と定める国もある。
自殺に対する見解は国によって、時代によって、議論が分かれるのである。
大麻と自殺を比べた場合、はるかに自殺の方が他者に対してショック、迷惑、被害、ダメージを与える。
特に、家族や友人に対しては人生を変えるほど大きな衝撃を与えてしまう。
俳優の死は、作品に対する影響も大きい。
ピエール瀧や沢尻エリカの映画を見直しても何ともないが、今後私は、竹内結子の映画を普通に見られるかわからない。
人間は時に、生きることに耐えられないほど追い詰められることもある。
だから自殺を全面的に否定はしない。
しかし、大前提として、殺人と同様に人がやってはいけない最たるものが自殺である。