ドナルド・トランプのコロナウイルス感染の報を聞き、私は瞬間「アメリカ大統領選は終わった」と思った。
もちろんトランプ敗北という意味で。
たとえ11月3日までに体調が回復するとしても、この先の選挙戦は無理であり、事実上の終結という展開になるものと直感的に思った。
しかし、その後の報道を聞いているといやいやそうではない、真逆の可能性すらあり得るという見解が出てきて仰天した。
「同情票が集まる」
「復活してコロナに打ち勝ったところを見せれば大逆転の機運になる」
というのだ。
そんなバカな。
いや、確かに英国ジョンソン首相は3月27日にコロナ感染を発表し、容体の重篤化を乗り越え、復帰してからは支持率を大幅に改善した。
バイデン候補にリードを許してきたここまでの選挙戦、もしトランプがコロナからの劇的な復活を遂げれば、大逆転勝利をつかむやもしれぬ。
となれば選挙日までちょうど1ヵ月前という今のタイミングも、計算ずくのシナリオではないかと勘繰ってしまうほど絶妙だ。
その筋書きで事が進むならばものすごい。
群衆心理の恐ろしさだ。
しかし、それならそれで、別の思いがわいてくる。
危機管理なき指導者を劇的な復活などと美化し、熱狂し、突き進んでしまう国民性はいかがなものか。
理性の対極、民度の凋落を感じずにはおれない。
アメリカ国民の知性と良心を問う。