本日、石川県かほく市の特産・紋平柿の初入荷、初せりが行われた。
1個300グラム以上、糖度16度以上の特秀品に与えられる「プレミアム」1箱が10万円のご祝儀価格でせり落とされた。
購入者は金沢の青果専門商「堀他」で、直営のカフェ「HORITA205」でデザートとして来店客に振る舞われるとのこと。
堀他の松﨑さんは、ブランド農産物の初荷には「少しでも地元の生産者の励みになってもらえれば」と破格の値を出してくれることが多い。感謝である。
販促物としてオリジナルマスクも製作した。
かほく市のイオンで近くフェアを催し、購入したお客さんにこのマスクをプレゼントするらしい。
かほく市は繊維の街。
地元産の柿に地元産のマスクをつけて。
粋なはからいだ。
「紋平」と書いて「もんべえ」と読む。
石川県独自の柿で、渋柿の一種。
宝達山系の麓、かほく市高松地区が栽培の中心地だ。
11月上旬をピークに下旬までの出荷となる。
果重は平均で240g~280gもある極めて大型の品種で、濃厚な甘みと、とろみある滑らかな食感が持ち味だ。
抜群に美味い。
ブランド農産物は結局は食味がものを言う。
その点、紋平は極めて優秀な地元の特産品だ。
今年は長雨による日照不足、猛暑による落ち葉現象の影響もなく、また台風被害もなかったことから生育は順調だった。
昨年が不作。だから今季は昨年分も含め巻き返したい。
石川県は広範囲で熊が出没している。
かほく市でも多くの目撃情報がある。
生産者は鈴やラジオで警戒を続け獣害を回避している。
ただ紋平は渋柿なので、熊に食べられることはめったにないそうだ。
ここら辺は面白い。
渋柿は、渋を抜く(正確には渋み成分タンニンが人間の舌に感じられなくなるよう不溶性にする)ことで甘くなる。
その方法にはいろいろあって、紋平はかっては「アルコール脱渋」という方法が主だった。
アルコール脱渋は、味はすばらしく甘く濃厚に仕上がるが、もの持ちが悪く腐りやすいという欠点がある。
このため、昔は遠方への流通がうまくいかなかった。
よって2013年より共撰は二酸化炭素を使ったガス脱渋に統一した。
集出荷場の脱渋空調施設で5日かけて渋みを除く。
これで品質が安定し、広域流通が可能になった。
高松紋平柿生産組合の農家は現在81戸。
新規参入者もいる元気な産地である。