本日、藤本秀佳与会主の「藤本流 ふじ与会 第49回 端唄おさらい会」が能楽堂別館で催された。
会主はコロナ禍で開催するかどうかも悩まれたらしいが、昇格されるお弟子さんが3名いらっしゃることもあり、そのお披露目はやっておかなければと決行したのだ。
ただし、無観客である。
無観客だが、お弟子さんたちは全員正装。つまり着物で舞台に臨んだ。
司会進行、幕、音響、照明なども今までの発表会同様に段取りする。
見るものもいないのに、誰のために?何のために?
それは自分のためであり、会のためだ。
見るものはいなくなどない。
お弟子さんが相互に成果を認め合う。
みなさん、無観客でも緊張感はいつも以上のものがあった。
こうした姿勢から学ぶことは多い。
そして、この会は、ファンが多いのである。
普通、こういう素人の芸能ものは自己満足が多く、見にくる人はお付き合いが多い。
心の中では「どこがいいのだかわからんなぁ」「素人なりに下手くそだなぁ」と思っている。
この会は違う。
知った人が出るから来ているのは間違いないが、皆、楽しみにしてやってくる。
そして出し物に対しては心から楽しんで帰られる。
観客は皆、ニコニコ笑っている。
一緒に口ずさんでいる。
これが端唄、俗曲の良さだ。
伝統芸能である長唄に対し、もっと気楽で自由な端唄。
どちらがいいと比べられるものではない。
今回、無観客だったのはとてももったいないことだった。
お弟子さんたちは皆、本当にひたむきに日頃の研鑽を披露しあった。
ふじ与会は来年春に記念すべき第50回を開催する予定だ。
願わくばコロナが収束し、多くの人がご来場できますように。