改正種苗法が成立

12月2日、国内で開発されたブランド農産物の海外流出防止を目的とした「改正種苗法」が成立した。要点は二つのようだ。

①海外不正持ち出し禁止
国内で開発された登録品種の種や苗木を海外に不正に持ち出すことを禁止する。
来年4月施行。
新品種の開発者が農林水産省に出願し、登録する際に栽培地域や輸出先を指定することができる。許諾なしに指定された地域以外で栽培したり、無断で海外に持ち出したりした場合は、生産・販売の指し止め対象となる。

②農家の自家採種が許諾制に
農家が収穫物から採取した種を次の栽培に生かす「自家増殖」は、開発者の許諾が必要となる。
再来年の4月施行。

品種の海外持ち出しは古くから問題視されていたが、一番有名になったのが2018年の平昌オリンピックでカーリング女子日本代表が行った「もぐもぐタイム」だ。
作戦タイム中の小休止時に、日本チームはデザートを食べて英気を養った。
その中で、現地で買ったイチゴが実は不正に日本から種苗を持ちだされて栽培されたものだとの指摘がなされクローズアップされた。

今をときめくシャインマスカットも随分と不正に海外で生産されているし、つい先日、石川県のルビーロマンでも疑惑が起こった。

新品種開発は何十年もかかる一大事業だ。
農業関係者、行政も交え、多額の資金を投じてトライアンドエラーを繰り返す。
まさに心血を注いで作り出した一品。
それがやすやすと“盗まれて”しまっては泣くに泣けない。

「種の権利」を守ることは極めて重要だ。
育成者の権利を保護し、知的財産を守ることになる。。

現行法では、登録品種であっても正規に購入した種苗の海外持ち出しは違法ではない。
そこに歯止めをかけるのが今回の改正法の目的である。
当然の権利擁護であり、基本的には賛成すべき法改正だと思う。

ただ、この改正で海外流失が止まるかどうかを疑問視する声もある。
また、②の農家の自家採種が許諾制になる点については、製造原価が跳ね上がって農家の負担が増えるのではないか、また種苗の安定供給を阻害するのではないかといった反対意見もある。
今後の運営のあり方を注視していかなくてはならない。