スーパーとドラッグストアの違い

先日1月5日の初市で、手締め式の後、当社社長室で、山野市長・山田議員を交えての懇談会を開催した。
その際、市長は、激変する小売業界にあって、卸売市場の販売の相手先としてドラッグストアーの位置づけはどうなのか問われた。

今、市場を通過する野菜・果実の行き先は、食料品スーパー、量販店が圧倒的なシェアである。
だがドラッグのウエートが増加傾向にあるのは周知の事実だ。
店舗がまだまだ増加傾向にあるから、今年は一層伸長するだろう。

この説明の後、「ただし」と断った上で、大西社長が続けた言葉にはなるほどと思った。

「ドラッグというのは、売り切れゴメンで済む業態なのです。だから破格な安値をつけることができます。対してスーパーは売り切れゴメンでは済まない業態です。だから安売りするにも限界があるのです。市民への食品提供という公的使命を持っている点で、食品スーパーと卸売市場はパートナー的関係にあります。ドラッグはまだその領域には至っていないと言えるでしょう」。

食品を提供することが社会的使命かどうか。
この場合の使命とは、一言で言えば「切らさない」ということだ。
生活必需品は切らさないことが一番重要。

だからスーパーは食品に関しては切らさない仕入れ・切らさない売り方が求められる。
ドラッグは薬屋だから、食品は売り切れゴメンで構わない。
だから安い食品で集客し、その代り薬品は適正な価格で売る。
ドラッグの方がスーパーより食品が安いのはここにカラクリがある。

ならば、スーパーは対抗策として医薬品をドラッグよりも安く叩き売ればどうか!?
残念ながらこれはうまくない。
薬事法の問題もあるし、また薬は一度にたくさんストックできるのに対し、食品はほぼ毎日の購入しなければという商品特性もある。
このためスーパーはドラッグに押されてしまうのである。

適正な価格で仕入れてもらう以上、市場にとっては食品スーパーもドラッグも大切な顧客に違いない。
ただ、上記のようにスーパーとは社会的使命を共有している間柄であり、市場はスーパーを決してないがしろにしてはならないのである。
よって、スーパーに大根が並ばない日はない。

むむっ!
食品がスーパーの使命ならば、ドラッグの使命は医薬品だ。
今年前半、日本中どこの店からもマスクが消えたことに対し、ドラッグはこれ以上ない悔恨、屈辱、懺悔の気持ちを持たねばならない。