フロリダと言えばグレープフルーツ?

仕事がら、アメリカと言えばカリフォルニアとフロリダが気になる。
広大なアメリカの左側にニョキッと伸びた髭がカリフォルニア、右の髭がフロリダだ。
カリフォルニアはバレンシアオレンジに代表されるオレンジの大産地、フロリダはグレープフルーツで有名だ。

かつては美味しいグレープフルーツを食べたければ1月か2月まで待ったもの。
フロリダのいい産地から出てくる時季にあたったからだ。
しかし近年、その評判は落ちたように感じる。
そもそも数が少ない。
聞いてみると、アメリカの事情も徐々に変化していることがわかった。

今やフロリダは農業州ではなく、不動産の州である。
アメリカ全土の大金持ちが事業をリタイアし、穏やかな余生を過ごすには、温暖な土地が一番。
そこで人気になったのがフロリダだ。

グレープフルーツの畑は売却され、富豪達の家に代わる。
フロリダは老人の余生の地だ。
街中のハンバーガーショップは老人達でごった返しているようだ。

農業者でまだ作る気が旺盛なものは内陸地やと移動した。
だが土地が変わると気候も変わる。土も変わる。
以前と同じ品質のものはできない。

昔は皮が薄くて糖度が高くコクがあったグレープフルーツが、皮が厚く苦味が強いものに落ちていった。
しかも数量を減じながら。

世の中は変わる。
日本も変わるし世界も変わる。
だが、近年は良いものが悪いものへと廃れる方向が、良くなる方向よりも多くなってはいないか。

人類にとって農業は自然と共生しながら豊かさを築き上げる偉大な行為だったが、一旦放棄してしまうと元に戻らない儚さがある。
目先のお金や安楽に流されず、踏みとどまって後世に残していくことこそが現代には求められるのではなかろうか。