金沢市場で感染者が出た件

金沢市中央卸売市場でもコロナ感染者が出た。

新聞では「金沢市中央卸売市場は2日、市場に店舗を構える事業者の50代男性従業員1人が感染したと発表した。男性は仕入れ業務に従事している。同市場事務局によると、出入り業者で感染が確認されるのは初めて。市保健所の調査で市場関係者に濃厚接触者はおらず、市場業務は通常通り行う。」と報道された。

業者名、感染者実名を公表しないのは金沢市の姿勢であるし、全国的な傾向でもある。
妥当な対応だ。
もはやいつ誰が感染・発症してもおかしくないことは国民全員がわかっている。
が、いざ身近に感染者が出ると、どうしてもその人物を忌避したり偏見の目で見たりする。
要らぬ差別から守るために、個人情報をさらさないのは当然だ。

当該の業者は、オフィス内をビニールシートで仕切るなど感染対策はしっかりしている優良企業である。
この業者が風評被害によって不利益を被ることがあってはならない。

この業者は誠意をもって、会社発の「お詫びとお知らせ」なる文書を取引先に提出した。
上記の報道内容に加え、次のような説明がある。
・発熱があったので27日にPCR検査を受け、3月1日に陽性と判明した。
・感染経路は不明。
・本人とご家族の人権尊重の観点から個人情報は開示しない。
・会社事務所は消毒した。保健所からは濃厚接触者がいないことが確認された。
・会社で自主的に社員全員のPCR検査を実施し、全員の陰性を確認した。
・最後に「関係者の皆さまに多大なご心配をおかけし、心よりお詫び申し上げますとともに、…云々」と締めくくっている。

大変責任感ある対応であり、誠実な発表と思う。
繰り返すが、もはやいつ誰が感染・発症してもおかしくない。
だから、お詫びなど本当は不要と思う。
が、ここは業者の誠意と表れとして謝罪の表現が使われている。

市場内で仕事する人間のコロナ感染。
ついに来たかと感じる反面、むしろ遅すぎたくらいだとの思いが強い。
大騒ぎせずすんなりやり過ごし、しかしてやるべき対応はしっかりこなす。
それを業界全体で試みるいい機会である。
ここは石川の食の台所なのだ。
コロナ感染ごときでグラグラしてはいけないのである。