市場流通ビジョンを考える会 第36回研究会

本日3月16日、藤島廣二先生が主催する「市場流通ビジョンを考える会」がオンラインミーティング形式で開催された。
その要点は以下のとおり。

テーマ1:
市場流通における「上流データ連携」の取り組み

講師 株式会社kikitori 上村聖季(うえむらまさき)代表取締役CEO

・コロナ禍で生鮮流通の不確実性が増している。
・家庭では巣ごもり消費で昨年は一般的な野菜を料理していたがそれにも飽きて、今は珍しい野菜を欲している。
・卸売市場は、依然として販売担当者のカンに頼っている。データ不在だ。
・市場人は今までの経験が足を引っ張っている。正しい認識を身につけるにはデータを重視せよ。
・働き方改革は今の時代は待ったなしだ。卸売会社は働き方改革をもっと進めなければならない。コロナによる社会変革の波はトリガーに過ぎない。
・卸売市場の仕事は未だにFAX、紙、電話が主役だ。
・流通事業者間のデータ連携がない。生産者へのメリットがまだ見出せていない、システム連携が未発達だ。だからデータ連携システムが普及していない。

どう取り組むか(一例)
〇Himaru
・LINEを使って出荷データ、販売データを自動連携するシステムである。
・送り状や販売原票を自動作成する。
・市況情報の自動配信をする。
・現在、10市場で導入済み。
・汎用性、拡張性を持つには系統出荷とのデータ連携が必須だ。その実現に向けたプロジェクトを立ち上げている。
・今まではFAXを使うことによる手間、時間、通信費がひどかった。
・逆ドレスの利用率は全国で10%程度にとどまる。ごく一部の遠方の産地とのみ有効。これではまったく機能していないのと一緒。
・分荷拠点のデータ及びシステムを押さえる事が重要だ。それはどこになるのかは農協によって異なる。
・集荷、分荷、出荷のデータ連携がJAで図られていない。多くは個別にエクセルレベルで行っているし、ひどいところは手書き処理もある。
・3月からHimaruのJA版を稼働開始する。
・県の電算センターのガードが固いのでその壁をどう崩すかが重要。

○市場にとってのメリット
①業務負担の軽減(時間、手間、人件費、、、)
②情報の共有化、見える化
③データに基づいた集荷・販売

・市場と産地は、今後、デジタルでの接点を持って行くことが重要!!

テーマ2:ポストコロナ時代に向けた準備 
講師:JFEエンジニアリング藤木氏
内容:省略

テーマ3:東京都中央卸売市場経営指針(案)の概要
講師:藤島廣二

・市場の強味はコストの縮減を実現できることだ。これは浅はかな世の中の意見と真実は逆であることを意味している。
・スーパーの直売は差別化商品の一部のみ。スーパーは直接取引では価格競争に負けるのをわかっている。
・なぜ市場経由率が低下しているか。輸入が増えてきた時代からである。輸入は加工品が多い。国内生鮮が減り、輸入加工品が増えているから、卸売市場取扱は減る。
・東京都は「市場経営は経常収支が赤字である。使用料の見直しが必要だ」と明言している。
・中央卸売市場のネットワーク化(役割分担)が重要と指摘。
・今年度中に経営計画を作る。

以上