台湾産パイナップルの話

この春から夏にかけてブレークしそうなのが台湾産パイナップルである。
味や栄養がどうこうではなく、国際情勢から出てきた話だ。

中国は3月1日から台湾産パイナップルの輸入を停止した。
害虫が発見されたというのが中国側の理由だが、これは表向きであって、実際は悪化する中台関係を背景に、台湾に対する圧力ではないかと噂されている。

台湾で産出されるパイナップルは42万トンで9割が台湾国内で消費され、残り1割の4万トン強が輸出に回る。
さらにその4万トン強の97%が中国仕向けだ。

この4万トンが行き場を失ったため、台湾では国内でのパイナップル消費運動が起こるとともに、日本への輸出を拡大しようという機運が高まっている。

日本の国民も台湾を助けられるのならば買い支えたいという思いが強い。
もともと双方は関係が良好であった上に、近年では対中国への警戒心が双方の共通の問題意識となっている。

東日本大震災の際、及びコロナ禍でも台湾からの支援はすごかった。
東日本大震災…台湾から日本への200億円の義援金、
新型コロナウイルス…台湾から日本へマスク200万枚の無償提供。

今度は我々が台湾を助ける番だ、というわけだ。
今後、日本にはこれまでにない量の台湾産パインが輸入される見込みだ。
実際、ニュースで中国の輸入停止を知った人々から、スーパーや果物屋に「台湾のパイナップルはないの?」という問い合わせがたくさん入っているそうだ。

台湾産パインは芯まで食べられる品種を多く作っている。
(ただし、うちの販売担当の加藤君によれば、芯はやっぱり筋っぽいのが口に残るので、無理して食べることはないと言っているw)

残念ながら、3月上旬はごくわずかしか輸入されず、売り切れが続出した。
これは台湾におけるパインのシーズンの問題である。
品種や栽培地によるが、一番潤沢に出回るのは4月~7月ごろだ。
よって、これからは目にする機会が多くなりそうだ。