石川県産青果物は“狭間(はざま)”に活路あり

惣菜の製造販売の一部上場企業である「ロック・フィールド」のバイヤーが我が社を訪問された。石川県産ブランド野菜を使った惣菜メニューの可能性を探りたいとのことだ。ユーザーと生産者をコネクトするのが当社の役目であり、こうした企画はむしろこちらの方から持ちかけるべきものだ。今後、なんとか双方がWIN-WINになるビジネスに発展させたい。

いろいろ意見交換し、石川県産の野菜・果実のキーワードは“狭間”であると改めて思った。石川県は大産地ではない。耕作地は狭く、農業人口の減少は激しい。それでも存在価値が高いと言われるのは、ひとえに大産地と大産地の狭間に位置しているからだ。たけのこの北限、リンゴの南限。その他の品目においても、西南暖地からの出荷が終わり、東北北海道産が出てくるまでの期間をつなぐのが石川県産だ。野球でいえば中継ぎ投手。脇役的存在だが重要だ。大産地ではないが農家の腕は良い。どんなものでも品質良く仕上げる。ある程度のロットを出せる生産者は非常に重宝する存在だ。

ここにしかないものもある。加賀野菜、ルビーロマン、のとてまりといったブランド農産物だ。大産地が育てる定番野菜・果実とはちょっと違うこだわりをもったニッチ品目であり、これもある意味“狭間”である。

この金沢市場自体が“狭間”である。表日本ではない一本裏手の“裏日本”。大都市と大都市をつなぐ大動脈から外れているため規模では比較にならないほど小さいが、どっこいしぶとく生き残ってきた。これは弱者のひねくれではなく、立つ位置を素直に見つめての戦略として意識すべきだ。