GWを振り返る
ゴールデンウイーク(以下GW)は、卸売市場にとって年間で3番目の書き入れ時と昔は言われていた。1番は年末、2番はお盆直前である。要するに長いお休みは人々が帰省したり、家族親戚で美味いものを食べたり、そのために買いだめに走ったりと消費がぐっと伸びるということだ。一応、今季のGWを振り返ってみる。
異常時のGW
とにかく異常時である。二年前、金沢は空前の観光ブームで、宿はどこも取れなかった。昨年はコロナ元年で撃沈した。そして今年はまだまだコロナ健在である。二年前とは比較にならない。苦しい中でも昨年と比べどうだったか、という視点しかできないのが悲しいところだ。
全体から見れば昨年並みだが…
結論からいうと、昨年よりは業務は若干回復。スーパーはダメ。全体的には昨年並み、という感じだ。GWの前半はまずまず良かった。市内の人出はものすごく、このご時世で都会から来る人たち(主に若者)は一体何を考えているんだと訝しんだほどの賑わいだった。よってここで業務がある程度前年オーバーとなった。仲卸業者も忙しかった。しかし、GW後半は失速した。5日までがGWだが、3日あたりになると帰る人が多かった。早めに日常に戻りましょうという空気が強かったようである。
発想の転換が必要
昔は、青果物は、GW一杯をモガキ(需要が供給を上回り、品不足で価格は上昇傾向となる)で通し、明けたら一気に下げるのが常だった。近年はそれが平準化し、GW前も大して騒がず、価格変動も穏やかに過ぎ、明けてもそれほど暴落しない傾向が強い。今季はどうだろう。GW後半に失速し、その停滞感を引きずっての明けである。在庫を抱え、ものが動かない中苦しんでいる業者が多いのではないか。GW前にさして上げきらず、しかして明けたら暴落では最悪の上塗りになる。かなり心配な部類だ。青果物という生もの商売には“流れ”というものがある。時間が経つと劣化して売り物にならなくなるので、需要と供給のバランスが刻々と変化し、そのため値段も変わる。ロスも出る。マイナスが出る時期があるのは仕方ないが、その分取り返せる時期がなければ年間を通して帳尻を合わせられない。しかしその“取れる時に取る”という機会が年々少なくなっている。だからこの業界は川上から川下までが連携して、発想を転換する必要がある。川中の卸売市場だけが躍らせる愚を犯してはならない。