ビジコンという存在
株式会社ビジネスコンサルタント(略してビジコン)の若手営業マンSさんが訪ねてこられた。この会社は名前の通り、ビジネス上のコンサルタント業を営む全国展開の大手企業だ。東京が本社で金沢に支所がある。今まで何度も当社にお越しいただきながら、先方の仕事に結びついた実績はない。申し訳ないとは思いつつ、いらっしゃるたびにあれこれ質問責めしてこちらが一方的に教えてもらっている。今回もいろいろ面白い話が聞けたので記録する。
コロナ禍におけるコンサル業
コンサル業も昨年同時期はコロナ禍で売上が激減した。なんと7割減だったという。企業相手の研修が軒並みキャンセルになったためだ。しかしそこからの回復が早い。東京から講師を派遣するのは顧客に嫌がられ、東京集約型では地方展開できないと判断し、幹部社員を地方に分散させた。ビジコンは講師ができる社員が約100人いるが、その中で特に凄腕と評価される幹部社員が8人いる。「鬼滅の刃」の“柱”のような存在だ。その者たちを東京から地方に移住させた。うち一人が金沢にいるそうだ。
そして、セミナースタイルも急速にリモート形式に移行した。ビジコンは、東京オリンピックが決定してから、これからの時代はオンライン形式が主流になると読み、対応を準備してきたそうだ。人材の能力も、従来の話術重視からデジタルツールの活用に長けた方向へ転換を図った。これが功を奏して、昨年秋口には前年比9割まで回復したそうだ。
興味⇒情報⇒思考⇒行動⇒成果
Sさんはまだ20代前半の若手なのに私をはるかに凌ぐ情報と見識を有していた。話の流れで、ビジコン内で常識的に言われている鉄則を一つ教えてくれた。
「興味関心の限界が情報の限界であり、情報の限界が思考の限界であり、思考の限界が行動の限界であり、行動の限界が成果の限界である」
なるほど。成果ばかりを求めても、その前段階が不十分ならば達成はおぼつかない。成果を出すには行動を決め、実行することが必要。その行動の決定には豊富な情報量を分析・思考することが必要。情報を集めるには興味関心が大元になければならない。
卸売市場とコンサル
卸売会社はこれまでコンサルタント業界をほとんど入れてこなかった。これは当社だけでなく全国的な傾向と思う。人材教育にお金を投じることに抵抗があるという古い体質が未だに根強いのだ。しかし開明的な経営者の中には「コンサルも使いよう」と柔軟に取り入れるところも出てきた。高松青果さんや長印さんなどがそう。そのお陰で、コンサル側も卸売市場・青果卸売会社について理解が深まって来た。当社が今後生き抜いていくうえで必要なノウハウを今ではたくさん蓄えられたことだろう。今まで閉鎖的・自己中心的だったからこそ、目を開ければ伸びしろがあると開き直り、これからは基本的にウエルカムの態度で応対したい。