相次ぐ訃報

小畑 文明さん

 元近江町市場の青果小売商「小畑商店」の小畑文明さんが先日他界された。地物野菜の振興に情熱を注いでこられた方で、「加賀野菜博士」を自称されていた。新聞に加賀野菜の記事が載るたびにスクラップし、20年ほど前に新聞コピー集を自費で出版されたこともある。(と言っても著作権の問題があるから、有料販売したわけではない。)
 性格的には独特のやんちゃさのある人で、時々私もきつくお叱りを受けたこともあるが、根は善良で純朴な方であり、私には優しくしてくださった。享年72歳。現代では早すぎる死だ。

小畑 四郎さん

 文明さんのお父上様は小畑四郎さんで、近江町の重鎮であり、近江町M4地区再開発の際、一番苦しい時期を代表者として奮闘され、周囲をまとめあげた功労者である。90歳をゆうに過ぎ、介護施設に入居されてかなりの年月が経つが、まだご存命と思っていた。しかし、文明さんの通夜でご遺族の方から教えていただき初めてわかったことに、四郎さんは今年の3月に他界されていたとのことだ。全く知らず、びっくりしてしまった。親子がこの短期間のうちに次々と逝く。なんとも人の命のはかなさを感じずにはおれない。

飯田 稔さん

 そして、諸江の農家・飯田稔さんが昨日亡くなった。クレソンやハーブというこだわり系の野菜を手掛けた方で、野菜栽培に本当に情熱的な方だった。金時草を練りこんで、うまく紫色を出したそば麺を開発したことでも知られる。生産者でありながら、朝6時のせり販売の時間帯によく現場にいらっしゃっていた。享年78歳。こちらもまだまだお若かったのに、残念なことだ。

野村 健二さん

 相次ぐ訃報はまだ終わらない。ついさっき知らせが来た。我が社で専務取締役を務められた野村健二さんが亡くなった。享年86歳。私が会社に入社したての頃から本当に気にかけていただいた恩人だ。専務在職中に脳梗塞で倒れ、以来半身不随となり車椅子での生活となった。お元気なころはお洒落で交流範囲も広かった方なので、晩年はさぞかしお辛い思いをされただろう。永年介護をされてきたご家族にも本当にお疲れ様でしたと申し上げたい。

思いを引き継ぐ

 青果物の生産・流通でお世話になった方々が逝くのは寂しいことだ。その方々の業績・思いを誰かちゃんと引き継いでいるだろうか。人のつながり。自分の身にも振り替えて、一日一日を誠実に生きていかねばならないと改めて感じる。