GAPとは
GAPとは「人と環境に優しい持続可能な農業を実践すること」で、Good Agricultural
Practice(良い農業の実践)の略である。先日、卸売会社としての認識を聞かせてもらいたいと北陸農政局の担当者が来られた。そこで教えていただいたポイントを下記に残す。
4種類のGAP
・GAPには、GLOBALGAP、ASIAGAP、JGAP、農林水産省ガイドライン準拠GAPの4種類がある。
・GLOBALGAPはドイツ。審査費用は約44万円+旅費。イオンアグリ、ブッタ
・ASIAGAPは日本発でGLOBAL GAPと同等の扱い。審査費用は約15万円+旅費。輸出の際にはASIAGAPが以上が有利。
・JGAPは審査費用は約10万円+旅費。JGAPは商品に表示ができる。GとAは表示禁止。
・農業法人等が取得する場合、独力での取得は難しいので、民間コンサルタント(25~55万円程度)をかけることが多い。
・農林水産省ガイドライン準拠GAPは、都道府県が運営するGAP。石川県は「いしかわGAP」を運営している。有効期限3年で認証費用が無料。しかも県の普及指導員がガイドしてくれるため、まずはこれからスタートするのがよい。
・いしかわGAPはR3.3現在、80件442農場を認証。石川県農林水産部の「生産流通課」が管理している。
オリンピックとGAP
・2020年東京オリンピック、パラリンピックにおける食材調達基準は、食材の安全、環境保全、労働安全が確保されていることである。すなわちGAPの認証を受けていることとほぼ同義ということになる。一時期は、JGAP以上でないと認められないと言われていたが、実際は、農林水産省ガイドライン準拠GAP(いしかわGAPなど)でも大丈夫らしい。
GAPが求める5要素
・GAPが示す5つの要素
①食品安全(異物混入防止、農薬適正使用、水の安全管理)
②環境保全(堆肥管理、土壌管理、廃棄物処理)
③労働安全(機械設備管理、燃料管理、保護具着用)
④人権保護(差別なし、労働条件の確保)
⑤農場経営管理(責任者、教育、内部点検)
(①~③はすべてのGAP、④⑤はJGAP以上で必要)
青果物流通の立場としては
GAP認証を受けている農産物が一般青果物より高値で取引される実態はないと思う。だが、生産者から高く売ってくれと要請されることはあった。高く売るのではなく、GAP取得に消費者が理解を示せば、GAP認証青果物が普通の値段となり、それ以外のものが安値になってしまう可能性はある。味・色・形が違う差別化については価格差に反映させやすいが、GAP取得の有無で価格差をつけるのは現状では難しい。(また、表示がJGAPしかできないという不均一な面もある。)現状では、当たり前のことを当たり前にやってもらう、その一環として進めるべきではないか、というのが流通側の見解となる。