加賀しずくの本年産スタート
本日、石川県産の梨のオリジナルブランド「加賀しずく」の本年初せりが行われました。石川県の農業試験場が開発した品種で、他県では一切作られていません。石川県だけ、しかも加賀地方だけの産物です。
加賀しずくの由来
豊水の後継品種にしようと、石川県農林総合研究センターが開発を始めたのが1998年。いくつもの系統から選抜した選りすぐりのものを2014年に品種登録申請しました。2016年に名称を「加賀しずく」に決定、2017年に市場デビューしました。
加賀しずくの特徴
名前のとおり、石川県の加賀地方の特産品です。生産地は金沢市、加賀市、白山市です。最大の特徴は大きさ。平均的な重さは1個600gで、幸水の1.5倍あります。収穫時期は8月下旬から9月中旬であり、全国的に栽培されている「豊水」と出荷時期が重なりますが、豊水よりも高単価が見込まれるため、石川県では作付けの転換が推奨されています。食味は酸味が少なく、まろやかな甘みです。
注目の初せりの価格
初せりのこの日、597ケースもの入荷がありました。栽培技術の向上と樹の成長による生産量の増大です。今季は昨年12トンの倍である25トンの出荷を見込んでいます。そして注目の価格は、最もグレードの高かった6玉を桐箱に入れた品が1ケース10万円で落とされました。これは昨年と同額の価格で、青果専門商の株式会社堀他さんが初出荷のご祝儀としてつけて下さった価格です。
高い梨ではあるが、、、
10万円が高いか安いかといえば、もちろん高いに決まっています。実際に自分で食べる梨に10万円も出す人はまずいないでしょう。ですが普通にスーパーで買える梨の2~3倍ならば、それなりの価値さえ見いだせれば買って食べてみようという人はいます。ターゲットはまさに、〝こだわりの梨を食べたい〟消費者層です。8月下旬から9月は、梨そのものに少し飽きてくるころ。ならば、普通の梨ではなく、グレードの高いものを提供しようというコンセプトで産まれたのが加賀しずくであるといえるでしょう。これは、規模は小さいが優秀な技術を擁する石川県の農業にマッチした戦略です。加賀しずくが今後さらに発展するためには、〝良いもの〟であり続けることが一番重要だと思います。