国外流出の新聞報道
石川県だけで生産されているはずの特産品「ルビーロマン」が韓国でも栽培され、流通しているとの報道が伝わってくる。新聞には韓国の大手百貨店で販売されたルビーロマンの写真が掲載されている。本物か偽物かは不明だが、写真を見る限りは本物にきわめて近い。
苗木が持ち出された?
ルビーロマンは石川県のぶどう農家ならば自由に栽培可能であるが、ブランドの権利保護のため、苗木の県外流出は禁止されている。もしも韓国のものが本物ならば、苗木が不正に流出したことになる。苗木管理は石川県農林水産部が担当しているが、現時点の調査では、海外流出の事実は確認されていないという。
偽物説も有力
今のところは〝偽物説〟がやや有力だ。根拠は、ルビーロマンは栽培が極めて難しく、秀品に仕上げるにかなりの技術を要するためだ。少しでも水のやり方を間違えると実が割れてしまう。石川では1粒でも実割れが起こると正品にならない。だから、たとえ苗木が何らかの不正により韓国に流出したとしても、現地で正品レベルに仕上げるのは不可能だという見解だ。だが、実際にモノを確認して調べなければ真偽のほどはわからない。ところが今はコロナ禍で簡単に韓国に行くこともままならない。そんなこんなで疑惑・憶測ばかりが飛び交っているのである。
当方にも問い合わせが
私のところにも石川県庁の農林水産部生産流通課から問い合わせがあった。日本と韓国の青果物流通に詳しい人を紹介してもらえないか、というものだった。2国間での野菜や果物の売り買いは、主に専門商社が行っている。特に、韓国産の農産物と言えばパプリカがメインだ。当社でも韓国産パプリカは一年中扱っており、その輸入商社を紹介した。
真相究明は必須
海外への不正な種苗流出はいろいろな品目で疑惑がある。数年前、ピョンチャンオリンピックでカーリング女子日本代表が「もぐもぐタイム」と称して韓国産イチゴをおいしそうにほおばっていたのが話題になった。あのイチゴも日本の大粒品種の苗が流出したものとのことだ。種苗は開発者の極めて重大な財産であり、無断転用はもってのほかの権利である。真相は絶対に突き止め、しかるべき防衛策を取らなければならない。長い年月をかけて編み出した血と汗の結晶を安易に盗用されてはならない。