武田物流塾で勉強

武田裕紀課長による講義

 本日10月7日、「生鮮取引電子化オンラインセミナー」を受講した。タイトルは「生鮮食料品等流通における標準化とデジタル化」。講師は農林水産省食料産業局食品流通課長の武田裕紀氏である。近年、卸売市場法改正を実現した立役者であり、役人の中では市場流通をもっとも詳しく・正確に理解する人物である。

パレットの標準化とデジタル化の推進

 このセミナーをざっくりと説明すれば、パレットの規格を標準化しよう、そして同時に運用面を整備しよう。そうすることで物流の効率化、コスト低減、人員不足の解消を図ろう、とするものだ。また、生産~物流~販売まで一貫してデータを共有化し、あらゆる面でデジタル化を進展させることで、生産性が劇的に向上する。その試行錯誤や議論が現在どのように展開されているかをわかりやすく説明した内容だった。

物流と情報は協調領域

 武田課長は最後に主張する。物流や情報は協調領域である、と。確かにそのとおりだ。市場流通において、商売上の売り・買いは競合との利害が生じる。しかし、物流面や情報処理で協力することはほぼ例外なくWIN-WINとなる。すでにパレットはT11という1092mm×1092mmの規格が広く浸透しているが、材質や積載方法についての統一性は未完成だ。データ化もしかり。何十年も前からデータの一気通貫の必要性は叫ばれてきたが、情報産業の足並みがそろわず、DX後進国となっている。

無血開城え欧米に追いつけ

 先日、本ブログで取り上げた「コンテナ物語」を思い出しながら講義を聞いていた。アメリカでは、コンテナ規格が現在のような統一を見るまでに、実はすったもんだがあった。民間企業同士の弱肉強食の戦争があっての現在だ。コンテナの父と呼ばれたマルコム・マクリーンにしても最後まで勝者として君臨したわけでない。そうした一筋縄ではいかない経緯を踏んできたとはいえ、物流コストが数十分の一にまでダウンしたのもまた事実である。後進国日本が世界的な物流レベルに追いつくのに、アメリカと同じような抗争の日々を辿るのは愚の骨頂だろう。江戸城無血開城のように、すっきりと新しい世の扉を開かねばならぬ。

推進力の勝負

 技術的に難しいことは特にない。肝心なのは推進力である。行政と民間がいかに手を携えて一つ所を目指すのか。数十分の一のコストダウンに現実味は薄いが、5割程度の経費節減は果たしたい。