レビュー:バチェラー・アメリカ マット・ジェームズ編

本家本元のバチェラー

 WOWOWで恋愛リアリティ番組「バチェラー」の本家・アメリカ版最新シリーズが放映されたので視聴した。今回はなんとシーズン25。米国では超人気番組なのだ。今回のバチェラーの名はマット・ジェームズ。番組市場初の黒人バチェラーだそうだ。彼をめぐり総勢30名以上の美女(それも途中参加で増えたりする!)が戦いを繰り広げた。

節操なきブチュブチュ

 本家にケチをつけるのはお門違いかもしれない。しかし正直に言う。アメリカ版は節操がなくて気持ち悪い。お国柄の差、感性の違いである。アメリカ版はキスは当たり前と聞いていたが、本当にそのとおりで、とにかく二人になるとブチュブチュやりまくる。おいお前、5分前に他の女とやってたじゃないか。男の方はいいかもしれないが、女たちはそれで許せるのか。私なら(相手がいくら凄い美女でも)ついさっき他の男とやってた女とキスするのはごめんだ。このキスの嵐で私は引いてしまった。

果てしなき抗争

 そして、女たちの足の引っ張り合いが醜い。誹謗中傷が飛び交う。悪事がばれてバチェラーからフラれた女は、失意のまま消えていく。悪いイメージは救済されないままだ。これで社会復帰できるのだろうか。そして、アメリカ版もラスト近くに脱落者たちのトーク集会がある。日本版は闘い終わってノーサイド、和気あいあいの同窓会ノリになるのに対し、本家版はここでも罵り合いである。アメリカ人は果てしないドロドロ抗争が好きなのか?

あり得ない1泊デート

 そして、女性の残りが3人となって、驚愕のステージが展開される。「ファンタジー・スイート」という部屋で、1泊デートするのだ。すなわちベッドインしちゃう。これをバチェラーは連日×3組分こなし、さらにその翌日のローズセレモニーで一人を落とすのだ!!
なんとも…はや…、ここまで行くと人権問題、公序良俗問題、、、とにかくバチェラーよ、君は不埒だろう。そう呆れる私だが、バチェラーはなぜか険しい表情で、急に哲学めいた悩みを吐露し始め、苦渋の決断をするのだ。いやいや。つい先程まで性欲にまかせ、やりたい放題やってただろう。最後だけ聖人君主ヅラはおかしいよ。まったくもってついていけない。

生殺しとトンズラ

 極め付けはオーラスだ。シーズンを通して「生涯の妻をみつけに来た、彼女との未来のイメージはできている」などもっともらしい言葉を並べておいて、最後の最後、ファイナルローズを渡す段になってまたも険しく悩み始める。そして「プロポーズはしない。けれど終わりにもしない」という、わたしから見れば女性を〝生殺し〟にするのである。日本の萌子嬢もすごかったが、アメリカのマット君も究極の自分勝手野郎だ。さらに後日談として、最後の女性が人種差別的パーティーに出席していた過去が発覚し、男女関係を事実上解消するのである。別に男女が別れるのはかまわないが、彼はその理由を「彼女の問題に僕はかかわるべきではない」と述べる。単に逃げているだけなのに、妙な理屈で自分を正当化するんじゃない。

バチェラー4に期待

 なんとも後味の悪い結末だ。これに比べれば、友永君のやったことは可愛いものだ。この番組は日本版の方が質が上である。日本版の方が面白く、精神が健全だ。日本版ではバチェラー4が黄皓(こうこう)さんをバチェラーに迎え、もうすぐ配信される。黄皓さんは、この世界を完璧に理解し、「バチェロレッテ」を盛り上げた立役者だ。大いに期待したい。