蟹が始まると青果が黙る
毎年11月6日は当地石川県でのズワイガニ、香箱ガニの解禁日である。この日以降、石川の食はカニ一色になる。先週までは地物のマツタケなど、青果もそれなりに賑わっていたが、カニ解禁になると野菜・果物は意気消沈するのが毎年の常だ。私の業界とすれば寂しい話だが、消費者の目がそちらに行く以上仕方がない。動7物背タンパク質にはかなわないのである。
かがやきが「かにわん」で500万!
そして今季、話題性においてもビックリなことがあった。昨年より各漁船厳選の一匹の最高額を決める「蟹-1(かにわん)グランプリ」を開催した。そして今年から石川県の漁協は〝輝(かがやき)〟というブランドを制定した。あわせ技で高額落札が期待された今季、No.1の品についた値段はなんと500万円!であった。買い受けたのは百楽荘。2年前、ルビーロマンを120万円で買い受けてくれた能登の温泉旅館である。
石川県の蟹ブランド
この価格は、青果としてはお手上げレベルである。くやしい気持ちも大きいが、石川の食で話題ができるのは良いことだ。石川県の蟹は昔から人気はあれど、福井の「越前ガニ」や山陰の「松葉ガニ」から見ると同じズワイガニながらまだまだ知名度が低い。県は「加能ガニ(かのうがに…加賀と能登を一字ずつ取った言葉)」でPRを図ったが、なかなかうまくいかなかった経緯がある。この〝輝(かがやき)〟〝蟹-1(かにわん)グランプリ〟〝500万円〟などで全国レベルに格上げされることを狙っている。
金沢市中央卸売市場も介入せよ!
問題もある。これを仕掛けたのは石川県漁業協同組合であり、せりが行われたのは金沢港にある「かなざわ総合市場」である。金沢市中央卸売市場ではないのだ。我が社のお隣さんである中央市場の水産物部が噛んでいないのは残念である。青果も水産も我が金沢市中央卸売市場が商流・物流ともに中枢に君臨したい。ブランド作りと振興にいかに中央市場が食い込むかは、今後の大きな課題である。
輝(かがやき)ブランド(備忘録)
石川県漁協が認定する石川県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の最高級ブランドである。重量1.5kg以上、甲羅幅センチ以上、すべての脚がそろっている、甲羅が硬く身入りが良いなどが基準で、今季は100匹程度(昨年の水揚げの0.04%)の認定を見込む。