玉ねぎ高騰

北海道産の玉ねぎが不作

 今年は北海道産の玉ねぎが小玉傾向の不作年である。例年より単価が倍になっている。馬鈴薯も同様に少量だ。原因は北海道産の生育期にあたる6月~7月に高温干ばつに見舞われたことにある。玉ねぎは、秋~冬~春は北海道産の独擅場だ。収穫後、産地で貯蔵保管されながら出荷される。相場が高いから、引き合いが強いからと無計画に出荷されることはない。玉ねぎの安定供給の施策上、後先を見ない放出を産地はしない。したがって、品薄単価高の傾向はこれからもずっと続く。下手すればあと半年。来春の産地切り替えまでずっとだ。

輸入の充当には限界あり

 不足は輸入で補ってはどうかという発想は当然湧く。そして実際、ある程度は実行されている。アメリカ産や中国産など、玉ねぎは当然世界中で栽培されている。しかし、品質が良い商品がなかなかないのが現状だ。玉ねぎは重量野菜の代表格である。通常は20キロもあるダンボールやネットの荷姿で流通する。キロ当たりの単価が極めて廉価な野菜だ。輸入物は当然ながら船舶で運ばれる。アメリカ産ならば1ヶ月かかってくる場合もざらだ。すると日本の市場にたどり着く頃にはかなり品質が劣化している。保存性が高いと入っても生鮮青果物には違いないのだ。中国産も似たようなもの。古いものは箱を開けると特有の悪臭がして商品価値のないものも多々出る。

脆弱な日本農業に危機感を持て

 夏場の少雨。私の問題意識の希薄さゆえかもしれないが、そうだったっけ?というのが正直な感じだ。昨年と今年はコロナ禍一色で、それほど極端な異常気象の印象はない。にもかかわらず、青果物業界ではかなりイレギュラーな状態といえる今回の芋玉の品薄高騰だ。天変地異ではなくとも需給のアンバランスがたやすく起こる。もしかしたら1ヶ月後は全く別の品目が異常事態になっているかもしれない。日本の農業はかくも脆弱である。そんな中、食料自給率が4割に満たない状況が何十年も続いていることに、やはり日本人は危機感を持つべきではないだろうか。