果実は長期的に高くなっている

日本農業新聞の記事

 先日(11/22)の「燃料高とくだものの少量化」で書いた直後、「日本農業新聞11月24日号」に以下のような記事が掲載された。
見出し:果実10年で2~4割高
記事内容:国産果実の価格は10年前から2~4割上昇している。原因は農家の高齢化、離農、天候不順による生産量の減少。一方でブドウなど安価な輸入果実の割合が増えている品目もある。

10年前と価格・面積比較

 記事にあるデータの元は、日農平均価格(各地区大手7社のデータ集計)で2010年を基準として2020年の市況を算出したものだ。みかんは23%、りんごは25%、サクランボとデラは34%、梨と桃は40%アップしている。値上がりは2016年あたりか顕著な傾向となっている。原因と思われる栽培面積の減少は、2010年に比べみかんが18%、りんご6%、梨23%、モモが7%となっている。一方、単価高によって産出額ではイチゴやみかんは2割増、りんご3割増、ブドウ5割増になっている。産地は産出額の維持のため、より高付加価値の品種を開発・導入する。高品質・食味向上は単価アップの大義名分となる。

消費の減退傾向も問題

 私は、生産量の減少は、消費そのものの減退も大きく関与していると思っている。特に若者がくだものを食べていない。量を作っても売れない⇒生産量を減らす⇒供給が減って前年より値が高くなる⇒数量は一層売れなくなる⇒さらに生産量を減らす⇒さらに単価は上がる という負のスパイラルに陥っている。記事中、名古屋大学の徳田教授は、国内の果実市場は、高くても買う層に向けられる量しか供給力がないと指摘している。

一気通貫の改革を

 「少ない⇒高い⇒少ない」の負の連鎖は決していいことではない。国産で品質のいいものが、今の半値で普通に売られる状況が望ましい。そのためには、生産側とすれば単純に現在の2.5倍に栽培面積を増やさねばならない。消費側とすれば若者が毎日、普通にくだものを食べる食生活を定着させなければならない。無理な話だろうか?いやいや、ひと昔前はそんなだったのだ。生産から販売、消費まで一気通貫の食改善運動が必要になるのである。