石川県のズワイガニ
石川県では概ね毎年11月6日にズワイガニ漁が解禁となる。雄のズワイはとても高価であるが、メス(香箱ガニという)はお手頃価格でしかも外子・内子といって雄にはない味わいも楽しめる。ただし香箱ガニは資源保護のため年内一杯でまた禁漁に入る。だから地元民はたいがい11月~12月の2ヶ月をカニのシーズンと感じ、主に香箱を賞味する。
高い理由
ところが今年は雄のズワイもメスの香箱も少なくて高い。昨年も高かったが今年もだ。なかなか庶民の口には入らない代物になってきた。なぜか。水産仲卸の深見さんに聞いてみた。いろいろな説があって、これだという答えはまだないそうだ。有力なのは〝獲りすぎ〟だ。繁殖する量以上をものを獲ってしまうから翌年、さらに翌年と、だんだん少なくなっていく。香箱が腹に抱える外子、内子は卵である。子ども作る前の香箱を獲りすぎると種の減少に直結する。
世界的な需要増
中国やアメリカなど、諸国でカニの消費が増えているのも背景にある。たくさんの人々が限られた資源を奪い合っている状況がここにもある。品薄となり値段がつり上がるのも当然だ。
育てることが前提の時代
先日のニュースで、クロマグロの繁殖が回復してきたため、漁獲制限がやや緩和されると報道されていた。カニも同様に、育てることを考えなければいけない。これまでも香箱は2ヶ月間限定だったが、もっと禁漁期間を伸ばすべきなのかもしれない。うなぎもカニも昔は今より手頃な食べ物だった。今ではおいそれと手が出ない。サンマも未来は高級魚かと言われている。くだものも高くなっている。どんな食材であろうとも、野放しで漁り続けては根絶やしになる時代だ。窮屈な気分だが、それを当たり前と捉えるのも現代人必須の感覚なのだと思う。