カテゴリーを撤廃するスーパー
スーパーの社長さんと話をした。来年早々に新店オープンを2店計画されている。今までと違うユニークな売場にチャレンジするそうだ。それは、一言で表せばカテゴリーを取っ払う店づくりである。
セクト意識はお客の不利益
通常、スーパーの売り場は野菜、果実、鮮魚、精肉、日配品、惣菜…などいくつものカテゴリーに分かれている。店員もカテゴリーに応じて配置され、店長一人が全体を統括している。永年の試行錯誤で培った手法であり、機能的である。しかし弊害もある。カテゴリー(=セクション)間に壁ができやすく、個別セクションがバラバラな動きを見せ、連携が取れなくなる。買い物客にとってこれはあまり利便性のあるものではない。
セクト意識は無駄も増やす
また、カテゴリーの硬直化は無駄も増やす。社長さんのお話しによると、惣菜部門とカット野菜担当は、別の業者から仕入れをしている実態だそうだ。仮にレタスを生鮮・惣菜(の原料)・カット野菜(の原料)の3パターンで使用するならば、各セクションの連携が取れていれば、入るレタスは1か所で済む。生鮮食料はどうしても半端や傷みが出るから、きれいなホールで売りたい生鮮売り場で扱えない低級品、劣化品はカットや惣菜に回すことで無駄なく使い切ることができる。
人の意識は変えがたい
その方式が合理的であることは、誰もが認めるところだ。そして実際、何十年も前からそうするべきと言われ続けている。だがなかなか実現化しない。人の意識は凝り固まりやすく、どうしてもセクト化してしまうのだ。人心ほどオペレーションの難しいものはない。
テーマ別の売り場構成に
だが上記の社長さんはこれをやるのだという。そして、売場も素材でカテゴライズされず、いわばテーマ別・用途別に構成されるという。買い物客にとってはとても利便性を感じられることだろう。
卸売市場の課題もまったく同じ
翻れば、卸売市場もまったく同様である。この道ン十年、根菜類を語らせれば右に出るものはいません、しかし、果菜類のことは何一つ知りません、という社員や仲卸に育ってしまうケースは枚挙に暇がない。セクション間の壁を取り払えるかどうかは我が社にとっても大きな課題である。