止め市…今年を振り返る

止め市を終えて

 12月29日は止め市である。休日対応といって若干は年末年始も入荷するが、基本体にはこの日をもって市場は来年1月5日の初市まで休市となる。今年一年をざっくりと振り返る。

厳しかったこの一年

 まずは今年もコロナウイルスに振り回された一年だ。昨年は〝巣ごもり需要〟という特需があったが、今年は内食疲れが出てパッとしなかった。つまり業務需要が最悪なままで〝いいとこなし〟の状態が続いた。昨年より売り上げの少ない月がなんと10月まで連続した。大きな天候被害はなく、概ね野菜の生育は良好だったため、常に供給が需要を上回り、単価安が続いた。例外は北海道産のジャガイモと玉葱で、8月の高温干ばつと盆から続いた長雨によって生育不良に陥り、数量減の単価高となった。芋玉のみ高く、それ以外はおしなべて安値といった具合。特に人参・ダイコン・白菜といった重量野菜はこれでもかと底値を打った。昨年よりも売り上げが良くなったのはついこの前の11月からである。それも平年に比べれば大したことはない。昨年は11月から撃沈したため、昨年比ではかろうじて今年の11月、12月の方が良いだけだ。暦年結果を見れば依然として厳しい。

輸出の拡大が必要

 市況が長期低迷した背景には地球温暖化の弊害があるのではないか。気温が高まり、野菜の生育が全国的に促進される。かつては四季がはっきりと存在し、年間を通じて野菜は産地リレーをしながらつながってきたが、近年は一時にどっと出てくる。季節の間隔が希薄になっている。慢性的に供給過多の状態だ。国内マーケットで回している限り、価格の浮上は望めない。温暖化による産地リレーの消滅と慢性的供給過剰が真実とするならば、放っておいては例年同じ苦しみを繰り返す。国内産青果物はやはりもっと輸出の道を拡大していくべきだろう。卸売市場の課題は多いが、こうした販売ルートの開拓も来年の大きな目標とすべきだ。