本日仕事納め
本日30日、会社は年内最終日だった。社員は午前中数時間だけ事務所内および現場の各持ち場を掃除し、正月用の飾りつけをする。それが終わると卸売市場内の仲卸業者に年末のご挨拶に伺い、早々に解散となる。今年は例年以上に早く終わり、令和3年の仕事納めとなった。
コロナ前に劣らない賑わい
退社して近江町市場に出向いた。八百屋各位への挨拶および年末年始に必要なものの買い出しのためだ。近江町市場はもの凄い人出だった。まさに立錐の地なし。コロナ前と変わらない。昨年はもっと閑散としていた。今もオミクロン株の蔓延が懸念されているが、活気だけは完全に戻ったかのような雰囲気だった。
果物屋Aさんの話
果物屋Aさんに挨拶する。私「すごい人やね、去年と全然違うね」。Aさん「いやあ、まだやぞいや。まず魚からやからね」。年の瀬、人々はまず魚や肉を調達し、その次が野菜、最後にくだものの順番に買い物するらしい。
果物屋Bさんの嘆き
果物屋Bさんに挨拶する。私「すごい人やね、よかったね」。Bさん「全然。なおさらダメや。観光客ばっかで誰も買っていかんよ」。これはコロナ前にもよく言われていたことだ。大勢が観光客の場合、半数以上は物見遊山で、何割かは水産物のショッピングをする。野菜や果物を買う観光客は極めてまれだ。しかも混雑がすごいから、本来の常連客の足が逆に遠のく。賑わえば賑わうほど、青果業者の売り上げはマイナスに振れてしまうのだ。
常連客への配慮と観光客への戦略
こんな事態が良くないのは明らかだ。しかし観光客を止めることはできない。また止めるべきでもない。考えるべきは二つ。一つ目は常連客の足を遠のかせない工夫や知恵だ。丸八青果組合(近江町内の八百屋・果物屋で組織する組合)共通の会員制度を立ち上げ、特典を設けるなどできないか。水産業者も交え、宅配サービスを振興組合全体で事業化することはできないか。二つ目は観光客への売上増大戦略だ。観光客が買いたくなる野菜やくだものとは何か。ここにしかない商品やここでしか受けられないサービス…。焼き芋やフルーツサンドで新たなニーズが生まれたように、地元の食材を使い、その場で食べられる加工食品を製造し、それを各店舗に卸す事業が必要かもしれない。
近江町市場と金沢中央市場
我が社の第一の使命は、地元の生産者と地元の小売業者に寄与することだ。観光都市金沢がますます発展し、賑わい続けるのであれば、近江町市場もまた潤わなければならない。ただしそこには知恵が要る。近江町市場と金沢市中央卸売市場は表裏一体と思っている。