大晦日のRIZIN
大晦日の格闘技ビッグイベントは格別だ。2003年にはINOKI BOM-BA-YE、PRIDE、Dynamaite!!の三大格闘技が同時開催されたこともある。その後、紆余曲折を経て、今はRIZINである。大晦日はその時点で考えられるありったけの好カードをもってくる。今回の目玉はバンタム級トーナメントの準決、決勝、および朝倉未来VS斎藤裕の再戦だ。
バンタム級トーナメント決勝
バンタム級トーナメントは扇久保博正優勝で幕を閉じた。優勝は朝倉海と井上直樹のどちらかと誰もが思っていた。が、扇久保はその二人を準決、決勝で破っで優勝したのだから、文句のつけようがない。打・投・極、まさに格闘の総合力で勝り、最後は根性で勝ちきった。M-1優勝の錦鯉と同じく、ベテラン中年が苦労を重ね、さらに高みの域に登りつめた。朝倉海はみたび大晦日で挫折を味わったことになる。
朝倉未来VS斎藤裕
朝倉未来VS斎藤裕の一戦はスリリングで素晴らしい内容だった。朝倉未来はYOUTUBERとして大成功している面もあるが、自分の存在意義を熟知していて、格闘家としてのハングリー精神を磨き上げている点は敬服に値する。自己制御とセルフプロデュース力の達人だ。対する斎藤裕も非常に魅力的だ。派手なことを言わず、実直に研鑽を積む。朝倉未来から過去何度もいわれなくけなされてきたにも関わらず、彼の一連の応対や態度は常に理性的だった。トップファイター同士であり、人格者同士であり、第一戦以上に緊張感のある噛み合った試合となった。結果は、あまりにも朝倉の出来が良すぎて完勝。飛び抜けた人気選手なだけに、RIZINとしても最高の結末であった。敗れた斎藤もこれで株を下げるわけではない。
八百長疑惑
そして、シバターVS久保優太についても最後に少し触れる。半ば客寄せパンダ的に組まれた試合で、誰もが久保の圧勝を予想していたが、結果はまさかのシバター一本勝ち。しかし、年が開けて事件に発展した。今、この試合に八百長疑惑が渦巻いている。進展次第では久保優太という逸材の選手生命が絶たれるかもしれない。
今後の格闘技界のために
以上のように、大晦日RIZINは、これぞMMAと興奮できる試合が目白押しだった一方で、スポーツ・競技では許されない暗部を秘めた大会となった。6月の天心VS武尊戦も決まって格闘技界全体が盛り上がってきたところである。粛清するべきところは粛清し、軌道修正してもらいたい。