ラジオで話したことから特売に
野菜2部の石野君は隔週金曜日にMROラジオ「あさダッシュ!」という番組に電話出演して、野菜やくだものの入荷状況について情報発信をしている。今朝、私のところにきて次のような報告をしてくれた。
「いったいどのくらいの人が聴いてくれているのか実感がなかったんですが、先日の放送で話したネタが営業につながったんです。丸いもの話をしたんですが、スーパーのバイヤーさんが聴いてくれていて『あの話、良かったよ、今度このテーマで丸いもを売り出すよ』となったんです」。その話とは石川県加賀地方の特産品である加賀丸いもが受験に縁起がいいというものだった。
番組内容
…土物類で注目は加賀丸いもですね。受験シーズンを間近に控えたこの時季、丸芋の〝丸〟で合格、〝粘り強い〟ことから受験の縁起物として売り出し中です。JAの方々が金沢神社でご祈祷を受けています。菅原道真のお神酒がかかったこの加賀丸いもで験(げん)を担いでいただきたいです…
石野くんとしては、丸いもを売るつもりで話をしたわけではない。また、卸売市場の取り組みではなくあくまで生産者側の仕掛けであり、農協の丸いも部会は毎年このキャンペーンを行っていて特に目新しいネタでもない。だが、結果的に我が社の販売促進につながった。
時間と労力を仕向ける先
ささいな出来事といえばそれまでだが、卸売会社のやるべきエッセンスが盛り込まれている。生産側の話であろうが消費者側の話であろうが、ニーズの元になる情報はいたるところに散らばっている。それを拾い上げて発信することで商売の種になる。これも立派な企画提案だ。誰がやるか。それこそ中間流通たる卸売会社の本分だろう。市場人はともすれば来る荷物をどうさばくかにあくせくするが、行催事、食文化、地域性、誕生秘話、効用、人物像…など、食を取り巻く情報の核を習得し、それを拡散することに時間を投資すべきなのである。