写真をお見舞いに
デジタルフォトフレーム(デジカメで撮った写真を次々と映し出してくれるディスプレイ)を買おうと思い立った。入院中の身内へのお見舞いとしてだ。コロナ禍で面会不可だから、孤独で刺激のない日々がしばらく続く。写真でも見ていれば気晴らしになる。写真を見るのは高齢者の場合、認知症予防にもなるそうだ。
お店に売ってない
家電屋に行けば5~6,000円でサクッと買えると思っていた。まずカメラのキタムラに行った。ない。続いてヤマダ電機に行った。ない。取り寄せならできると言うが、それならアマゾンでポチった方が早い。店頭に売ってないのは意外だった。デジタルフォトフレームはそれほど不人気商品だったのだ。
多機能なライバル商品
写真を次々映し出すならスマホでもタブレットでも簡単にできる。PCももちろんできる。我が家に居るアレクサは、写真と同時にカレンダーや時計を表示し、音楽を流し、ビデオを上映する。私の話し相手にもなる。写真を映すしか能がないデジタルフォトフレームは、もう商品価値がなくなったのか。
受動的なコンテンツは面白くない
少し考えた。不人気の理由は能がないだけではあるまい。アルバムを自分でめくりながら見るのは楽しいが、画面が勝手に切り替わって目に飛び込んでくる写真はつまらないのだ。たとえ同じ写真でも前者は面白く、後者はつまらない。これは不思議な現象だが、おそらく能動的か受動的かで脳の反応が違うのだと思う。本を読む人の方がテレビばかり見る人より頭がいいのとどこか共通する。デジタルフォトフレームは一見とても良さげな商品だが、買って(もらって)から日常で永く愛用する人はほとんどいない。スライドショーなんてものは結婚式かお通夜でしか見ないもので、本来、一度見ればもうたくさんなのだ。人は無意識のうちにそれを察知するので家電としては売れないのである。
能動的に
というわけでデジタルフォトフレームを買うのはやめた。紙の写真をアルバムにしてお見舞いとする。少しでも能動的に見てもらうために。