能登の積雪
子会社である「ファーム菜四季 穴水農場」に行った。能登は金沢よりも雪が深い。ざっくりしたイメージでは、金沢が10㎝なら能登は30㎝だ。先週水曜日の降雪で能登の畑は一旦こんもりと雪に覆われた。今、穴水農場はキャベツ「あやね」の収穫期だが、雪に隠れてどこに何があるのかわからない状態になった。
溶けてきたら収穫ダメ
その雪がようやく溶けてきて、今日はキャベツの姿がはっきり見えている。しかし農場長いわく「雪がこんもりの時は収穫できるが、溶けだした今は一番ダメな時」だそうだ。ふんわりの雪にすっぽり包まれているとキャベツの温度は安定する。零度かもしれないが、+10度や-10度にならない。雪の下にいる分には、甘みが増すとさえ言える。しかし、雪が溶けて農作物の頭が出始めると状況は一変する。品温は外気の温度に左右され大きく上下する。夜は氷点下になって雪(水分)は凍る。日中は氷が溶けて水になり、作物をべたべたにする。それが腐りの原因になる。また、ふんわりの雪の状態の時は、ほじくれば収穫できる。対して、中途半端に溶けて凍ってしまうと、周りがカチカチになってしまって掘り出せない。
裏日本の厳しさ
そんな事情について、太平洋側の農家はピンとこないかもしれない。基本的に太平洋側は晴天が多く雪など降らない。日照が少なく、降雨降雪の多い日本海側はハンデがある。同じ農業をしていても収穫量に大きく差が出るのは当然だ。裏日本は基本的な生育条件が厳しいのだ。
裏日本は差別用語?
ところで〝裏日本〟は差別用語だそうだ。茶道の表千家・裏千家は差別用語でないのに、表日本・裏日本はなぜ差別なのだろう。実際、この地は曇天続きで湿り気が多い地域であり、イメージ的に〝裏〟はしっくりくる。人間性もやや陰りがある人が多いかもしれない。が、それはそれで深みと趣のある世界観を出している。私は特に〝裏日本〟という言葉に屈辱感を覚えない。
地場農産物を大切に売る
話を戻す。石川県はそもそも生育環境でハンデを抱えているのだ。子会社の畑を観察するとよくわかる。いいものを安定的に産み出すことがいかに難しいか。それがわかるからこそ、地元の農産物を大切に売ろうという思いが強くなる。我が社の若手社員は子会社の農場も含め、もっと地場農業の現場に足を運ばなければならない。