今や恒例行事
もう毎年の恒例行事である。穴水高校では就業体験の一環として、原木しいたけ「のと115」の栽培に生徒たちが取り組む。一番生育が進む時期を見計らって金沢市中央卸売市場でせりを行う。それが地元の新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題となる。昨年は8玉1箱にご祝儀価格119,200円の値がついた。そのイベントが今年は本日2月5日午前6時30分より行われた。
今年は来場もライブもなし
本来なら、高校生たちは実際に市場に来て、せりに立ち会うのが毎年の流れだ。直前に生徒代表が挨拶とPRを行い「私たちが一生懸命育てた『のとてまり』にいい値をつけて!」とせり人や仲卸、売買参加者達に圧をかける(笑)。その臨場感が面白かったが、今年は残念ながら生徒たちの来場はなかった。コロナのせいだ。昨年も来れなかった。ただ昨年は、穴水高校と市場をリモートでつなぎ、生徒たちは高校の教室からライブで挨拶をしてくれた。今年はそれもなく録画のビデオレターを売場で上映するのみとなった。ちょっと寂しいが、仕方ない事情がある。例年、せり見学だけでなく、近江町市場でキッシュ販売体験もするなど、セットのイベントが組まれている。一日がかりの教育実習なのだ。しかし今回はまん延防止措置で付随イベントが軒並み中止となった。また土曜日はもともと学校の休日でもある。金沢市場のせりだけのために、休校日に生徒を登校させるのは忍びないとの判断だった。
能登のどんたくに納入
せり価格は5万円だった。仲卸の北国青果がせり落とし、能登のスーパー「どんたく」に納品されることになった。どんたくの西村バイヤー(写真)は「能登の高校生が作った椎茸は、能登のスーパーで売り、能登の消費者に食べてもらいたいと思った」と地元愛溢れるコメントを発した。
イベントの価値とは
「5万円。昨年の半値以下」…そう報じた報道機関がある。なんだか価値が下がったようでイメージは悪い。ブランド農産物でご祝儀相場がつくたびに私は言わせてもらっているが、価格の高低に一喜一憂するのはまったくもってナンセンスだ。ご祝儀価格はひとえに買い手の地域振興を思う気持ちの現れだ。農産物にン万円はそもそも法外なのだ。そのものの価値ではなく、ひとえに買い手の心意気なのである。どんたくはこれまで何度も地元の農産物を高値で買い受けてくれてきた。心より感謝。そして、今年の穴水高校生による「のとてまり」は近年でも特に素晴らしいものだった。丸々と形良く〝てまり〟と呼ぶにふさわしい出来だった。胸を張って欲しい。
来年はご来場を
そして、来年はコロナがが終息し、また学生たちが市場に来てもらえるようになることを願う。実地体験が何よりの教材だ。高校生のくせに眼を血走らせて「高値になれ」と叫び、私のようなウザいおっさんに「おめぇらそんなもんじゃねぇんだ」と説教される…、そういう世界が再び戻ってくることを願う。