親孝行と別離

親戚の他界

 病気で20年近くも不自由な体を強いられ、近年は施設に入っておられた親戚がいる。1ヶ月ほど前、遠方に住む息子さんが3日間ほど帰ってきて、その間は一緒に寝泊りできたし、外食に出ることもできた。しかしその直後に倒れられた。脳溢血だったそうだ。その後ずっと意識不明。今日か明日かと心配されながら何とか持ちこたえてきた。しかし残念ながら水曜日に逝去された。

この上ない親孝行と悲しい別れ

 本日、葬儀に参列した。ごくごく内輪だけの会だった。息子さんからは「僕が母を外に連れ出したばっかりに…」と悔やむ言葉も出た。お気持ちは痛いほどわかる。運命とは時に酷で皮肉な仕打ちをする。だがその三日間は、お母様にとってこの上なく幸せな日々だったことだろう。最後に大きな親孝行をされたのだ。自分を責める必要は微塵もない。故人は、重い闘病生活の中でも周りの人に細やかな愛情を投げかけられた方だった。私の姉や妻、そして母が病気になった際も心の支えとなる本を送って下さった。どんなに自分の境遇が不幸でも、周囲への思いやりを欠かさなかった。もし私が同じ境遇になったとして、このような強さとやさしさを持つことができるだろうか。

ご冥福をお祈りします。合掌。