在庫の数値管理
在庫のチェックは重要だ。青果物は時間とともに品質が劣化し、短時間で価値がゼロとなる。特に委託物品の場合は〝人さまの所有物〟を預かっているわけで、基本的に在庫を残すべきものでない(それでも極度に販売不振の時は残ることもあるが)。対して買付物品の場合は、在庫を持ちつつ販売することが少なくない。販売担当者が一日に抱える荷口の件数は数十、多い者で100件を超えるから、とにかく管理が大変だ。時にうっかりミスで処理(販売入力)が漏れたり、ダブって仕入を上げたりして、帳簿に長期的な在庫が残ったりする。その正体が何であるかを突き止め、常にクリアな在庫データに更新していくことが管理者の役割だったりする。卸売会社の営業はまだ在庫の意識は高いほうだ。在庫の数値管理は、数量(箱数)でどれだけ、金額換算でどれだけと両面から把握するのが常識である。
仲卸の特殊性
ところが、仲卸業者になると人によって数量(箱数)の把握が曖昧な場合がある。決して頭が悪いわけでも性格的にルーズなわけでもない。卸売会社は数量と金額が比例するのに対し、仲卸はそうでない。仲卸の段階で商品の規格が変わることがままあるからだ。わかりやすくいうと、卸売会社は箱で仕入れて箱で売る。単価○円×数量■箱だ。だがそれを買った仲卸は、作業場で1袋4本入りなど小袋に形態を変え、1パックいくらで八百屋、スーパーに販売・納品する。よって、仲卸の在庫管理は、箱数ではなく金額のみで把握するという側面がある。
不正取り引きを防ぐ重要性
在庫管理は、品質劣化の激しい青果物において損益管理の基本になる。逆に言えば、ルーズな在庫管理を放置することは不正の温床になる。大昔から今日まで、青果市場業界では、卸と仲卸の心無い者同士が結託し、売買金額を横領する事件が時折り起こる。古くより全国的に様々な不祥事があったが、当市場でも昔、不適切な販売実態が発覚し、問題になったと聞く。仲卸段階で数量管理がかなり複雑・煩雑になる実態がある以上、せめて卸売会社の段階では数量と金額の両面からの徹底した在庫管理が要求される。