輸入果実が高級品に?

年度計画で前年割れ!?

 会社では3月になると新年度の販売目標を定める。野菜はこれだけ、果実はこれだけ…といった具合だ。普通は、前年実績に上乗せした目標を掲げる。ところが輸入果実を取扱うセクションから上がってきた計画は、昨年実績よりも低いものだった。私としては当然異議を申し立てる。しかし説明を聞くとむべなるかな。厳しい輸入の実態が浮かび上がってくる。

コロナによる物流難

 最大の要因は新型コロナの世界的な感染拡大だ。特に物流面で大きな支障が生じている。人員不足により港湾のマヒ状態が深刻化している。入船が遅れに遅れ、コンテナ自体に空きがない。世界的に糞詰まり状態だ。米国産オレンジなど不作傾向という面はあるものの、それ以上に物流難による取引量減少が大きい。

価格逆転現象

 これに円安が加わり、輸入原価は大きく上昇している。輸入果実と言えば、国産よりも安価なことが強みだった。しかし、かんきつ類を中心に国産よりも輸入物の方が価格が高くなる逆転現象が起きている。

長期化必至

 この問題は短期的に解決するものではない。アメリカでは輸出に注力しなくとも別に困らない。米国内での引き合いが強く、国内消費で十分だからだ。たとえコロナ禍による物流混乱が今後解消される時が来ても、輸入青果物の価格は下がらない可能性すらある。

国産にチャンス!しかし…

 これは国内産を振興するチャンスであると言えなくもない。しかし今日まで何十年にも渡り農業を縮小させてきた現状で、今にわかに振興振興と叫んでもそれこそ短期的に効果が出るものではない。