和歌山の筍
和歌山県産の筍が増えてきた。当市場で和歌山の筍は農協を通じてまとまった量を出していただいているが、個撰品としてせり販売をしている。一籠(かご)ごとに生産者の名前とサイズが示され、別々にせりにかけていく。同じ「秀の2L」でも、荷主(掘った人)によって値段が全然違う。和歌山の筍は半透明のビニール袋にくるまれているので外側から見ても判別しづらいが、競り人も買人もしっかりと品質を見定めている。これぞプロの目利きである。私は素人同然で、ここらの妙がわからない。
予言的中
せり前、大先輩にあたる方が耳打ちしてくれた。「そこの○○さんの筍が、今日のせりで最高値をつける。いくらかになるかは流れによるが、せり落すのは●●さんだ」。そして結果はそのとおりになった。●●さんは近江町市場の八百屋さんだ。これと決めたいい品は周囲とは次元の違う値を出してゲットしていく。そして荷主○○さんは、昔から抜群にいい筍を出す有名な方だそうだ。いいものにいい値段をつける。これは信用につながるちゃんと見てくれているなと生産者も安心し、その市場に出荷を続けてくれるようになる。
品定めの妙
農産物は規格化がとても発達したけれど、筍や松茸のように、山から採ってくるような類は、品質のばらつきが激しいためにどうしても「せり」のような機能が必要になる。今やせりは全体取引の1割にも満たないが、将来も完全になくなることはないだろう。そして、やはり卸売市場の面白みというのもこの目利き・品定めにあるのである。