猿を人間社会に例えると
猿の群れとその徘徊は、やくざ社会のようなものだ。群れと群れとの抗争があって、破れた方がその地を去って別天地へ下る。尾川氏ら駆除班はさしずめマル暴だ。今回、マル暴が本腰を入れ、反社勢力の撲滅に乗り出したといったところだ。尾川氏は見かけによらず怖いもの知らず?で、群れの中に単身入っていくそうだ。猿は威嚇してくる。こちらも威嚇する。命がけだ。その際、成人男子ではなく、メスと子供のグループに狙いを定め、それを追い出すことに集中するのだそうだ。メスと子供が群れから出ていくよう仕向ければ、オスどもは必ずそれについていく。そうやって群れ全体を保護すべきエリアから追い出すのだそうだ。
カボチャが定番
罠に仕込む餌は何が良いか。いろいろ試した結果、カボチャが良いということになった。カボチャは甘みがある上に、日持ちがする。生産の過程で「摘果(てっか)」と言って、一本のつるについた複数の実のうち優秀なものだけ残して他は取り除く作業がある。その取り除いた実は廃棄するだけなので、それを農家から貰い受けて猿の罠に使っていたのだそうだ。その協力農家がカボチャやメロンの栽培で有名な金沢の篤農家、荒川雅登さんと聞いてびっくりした。荒川さんは我が社にとっても大変お世話になっている生産者である。
オレンジ2番
市役所の尾川さんは、卸売市場にもカボチャの廃棄物はないかとたずねてきたわけだが、市場にそんなものはないので、代わりにオレンジのB品を提案したのは前回のブログに書いた通りだ。オレンジは尾川さんとしても初の試みだったらしい。そして猿は食いついた。食いつきの良さで比べると、1位がカボチャ、2位がオレンジ、3位以下は大きく引き離される。猿はバナナが好物だが、日持ちがしないので使いにくい。人参や玉ねぎ、キュウリはまったくダメだったそうだ。
ささやかな地域貢献
オレンジに猿が食いつくことがわかり、今後もカボチャがない時期は定期的にB品を提供することが決定した。これも地域貢献の一つである。